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Chanson de la Fille Frivole   FP 117  
  Chansons villageoises
浮気娘  
     村人の歌 

詩: フォンブール (Maurice Alphonse Jacques Fombeure,1906-1981) フランス
      

曲: プーランク (Francis Poulenc,1899-1963) フランス   歌詞言語: フランス語


詩:著作権のため掲載できません。ご了承ください
ああ、と浮気娘は言った
風が吹き、舞い踊る
あたしのアヒルは池の中
美しい春の月

(著作権のため第一節のみ簡単に訳しました)


多彩なスタイルを誇るプーランクの歌曲の中でも、民謡を意識した快活な作品がこの「村人の歌」です。
詩はシュールですが非常に語呂が良く、プーランクの伸びやかなメロディーもあいまってフランス語の響きを堪能するのには最高の歌曲と言っても良いと思います。
この第5曲目、浮気娘の歌でも、2行目の風が吹き、舞い踊る(Que le vent y vire y vole)など実に面白い響きです。
上にご紹介したような4行の詩がつごう8回、少しずつ言葉を変えて繰り返されるのですが、それでも全部で1分もかからない超高速な歌で、フランス語の早口を楽しめるでしょう。プーランクの書くプレスト(非常に速いパッセージ)は本当に見事ですね。
この村人の歌は全部で6曲からなっていますが、春を題材にした歌が、この曲を含めて多いのがもうひとつの特徴でしょうか。

1曲目の「ふるいの歌」でも、「春よ来い」というフレーズがありますし、
2曲目の「祭に出かける若者たち」というのも復活祭のイメージでしょうか?
3曲目の「美しい春」は春そのままの題ですし(本当に美しい春の描写!)
5曲目のこれも春の歌です。

非常に重たいテーマの4曲目「乞食」と6曲目「軍曹の帰還」が浮かれる気分を引き締めて、動と静、躁と鬱のコントラストが非常に美しい歌曲集です
もっとも、この重たいテーマでも滲み出てくるユーモアがプーランクらしいですが。

演奏は、初演と同じ管弦楽伴奏によるものが、メロディーの色彩感を一層高めて実に面白くなります。プーランク演奏の第一人者、ジョルジュ・プレートルが伴奏を付けたブノワのバリトンによるものが決定版なのでしょうか(EMIの歌曲全集)
特に3曲目の「美しい春」の見事なムード作りや4曲目の「乞食」の熱唱は特筆ものです。
残念ながら「浮気娘の歌」はオーケストレーションが少々ごちゃごちゃした感じで今ひとつの感も
なくはないですが...
ピアノ伴奏でもいくつか録音がありますが、威勢の良いスゼーの録音(Philips)が私は好きです。

( 2001.04.13 藤井宏行 )


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