Love's Philosophy Op.3-1 Three Songs |
愛の哲学 3つの歌 |
The fountains mingle with the river, And the rivers with the ocean; The winds of heaven mix forever With a sweet emotion; Nothing in the world is single; All things by a law divine In another's being mingle-- Why not I with thine? See,the mountains kiss high heaven, And the waves clasp one another; No sister flower could be forgiven If it disdained its brother; And the sunlight clasps the earth, And the moonbeams kiss the sea;-- What is all this sweet work worth, If thou kiss not me? |
泉は川と交じり合い 川は海と交わっている 天の風は永遠に 優しい心と混ざり合っている この世に誰も独り者はいないんだ すべてのものが皆、神の思し召しで 他の誰かと触れ合ってるのに なぜぼくはあなたと一緒になれないの? ご覧よ、山々はそびえ立つ天にくちづけし、 波は互いに抱き締め合う いかなる雌花にも許されない 雄花を馬鹿にすることは 日の光は大地と抱擁し 月光は海にキスをする 世界のそんな甘美な営みに何の価値があるのさ あなたがぼくにキスをしてくれないのなら? |
イギリスの大詩人、シェークスピアやテニスン、バーンズやシェリーなどの詩に魅力的なメロディーを付けたという点では、このクィルターを無視する訳にはいかないでしょう。彼はつい50年程前に亡くなった、ほとんど近代の作曲家なのですが、音楽はエリザベス1世やヴィクトリア女王の時代のイギリスを彷彿とさせる典雅なものです。しかしそこに近代音楽が培ったロマンチックな和声や色彩感を織り込んでいるので、1曲1曲が大変雄弁です。
そのスタイルを駆使して、彼はイギリスの古典を次々と美しい歌曲にして行きました。以前ご紹介したコーツの歌曲同様、通俗的とけなしてしまえばその通りなのですが、このメロディーの魅力はイギリス音楽が好きな方は絶対ハマること間違いないと思うのですが...
ご紹介のこの曲、彼のかなり初期の作品のようですが、溢れんばかりの熱情と、それにも関わらず節度を失わないメロディーと、そしていわく言い難い技巧を凝らすピアノ伴奏(シューマンの歌曲を思わせる)とが渾然一体となってとても素晴らしいラヴ・ソングになりました。
有名な曲なので録音も多いようですが、私が気に入っているのはCollinsから出ているイギリス歌曲シリーズ、クィルター編で歌っているロルフ・ジョンソンのテナー、彼の歌うイギリス歌曲は、クィルターに限らずどれも水準が高いのでどれもお勧めです。
( 2000.11.22 藤井宏行 )