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Muttertraum   Op.40-2  
  Fünf Lieder
母親の夢  
     5つの歌曲

詩: シャミッソー (Adelbert von Chamisso,1781-1838) ドイツ
      Tyveknægten (1829) 原詩: Hans Christian Andersen アンデルセン

曲: シューマン,ロベルト (Robert Alexander Schumann,1810-1856) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Die Mutter betet herzig und schaut.
Entzückt auf den schlummernden Kleinen;
Er ruht in der Wiege so sanft,so traut,
Ein Engel muß er ihr scheinen.

Sie küßt ihn und herzt ihn,sie hält sich kaum.
Vergessen der irdischen Schmerzen,
Es schweift in die Zukunft ihr Hoffnungstraum.
So träumen Mütter im Herzen.

Der Rab indes mit der Sippschaft sein
Kreischt draußen am Fenster die Weise:
Dein Engel,dein Engel wird unser sein,
Der Räuber dient uns zur Speise.

母は優しく祈り 見つめる
幸せそうに 眠っている幼子を
その子はゆりかごの中で静かに、愛らしく眠っている
天使のように 母には見えているに違いない

母はわが子にくちづけし 抱きしめる まるでためらうこともなく
この世の苦しみなど忘れて
彼女の希望の夢は未来へと踏み込んでゆく
母はそんな風に心の中で夢見てる

カラスが、しかし、仲間と一緒になって
窓の外の遠くで叫んでいる
あんたの天使は、あんたの天使はいずれ俺たちのものさ
強盗は俺たちの餌になるんだから


バッハのインベンションのような静謐で穏やかなピアノの分散和音に乗せて、何とも寂しげなメロディが紡ぎ出されます。すやすやと眠る幼いわが子を慈しんでいる母親の描写にしてはあまりに暗いメロディだと違和感を感じていると、第3節のカラスたちの登場でその謎が解き明かされます。
この幼い子は、やがて成長して犯罪者となり、そして処刑されてその肉は彼らの餌食となるという不吉な予言。表情を抑えた音楽でそれが淡々と語られるだけにひときわ戦慄的です。

( 2010.12.15 藤井宏行 )


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