Die Löwenbraut Op.31-1 Drei Gesänge |
ライオンの花嫁 3つの歌 |
Mit der Myrte geschmückt und dem Brautgeschmeid, Des Wärters Tochter,die rosige Maid, Tritt ein in den Zwinger des Löwen; Er liegt der Herrin zu Füßen,vor der er sich schmiegt. Der Gewaltige,wild und unbändig zuvor, Schaut fromm und verständig zur Herrin empor; Die Jungfrau,zart und wonnereich, Liebestreichelt ihn sanft und weinet zugleich: “Wir waren in Tagen,die nicht mehr sind, Gar treue Gespielen wie Kind und Kind, Und hatten uns lieb und hatten uns gern; Die Tage der Kindheit,sie liegen uns fern. Du schütest machtvoll,eh wir's geglaubt, Dein mähnenumwogtes königlich Haupt; Ich wuchs heran,du siehst es: ich bin,- Ich bin das Kind nicht mehr mit kindischem Sinn. O wär ich das Kind noch und bliebe bei dir, Mein starkes getreues,mein redliches Tier! Ich aber muß folgen,sie taten mir's an, Hinaus in die Fremde dem fremden Mann. Es fiel ihm ein,daß schön ich sei, Ich wurde gefreit,es ist nun vorbei: Der Kranz im Haar,mein guter Gesell, Und vor Tränen nicht die Blicke mehr hell. Verstehst du mich ganz? Schaust grimmig dazu, Ich bin ja gefaßt,sei ruhig auch du; Dort seh ich ihn kommen,dem folgen ich muß, So geb ich denn,Freund,dir den letzten Kuß!” Und wie ihn die Lippe des Mädchens berührt, Da hat man den Zwinger erzittern gespürt, Und wie er am Zwinger den Jüngling erschaut, Erfaßt Entsetzen die bagenden Braut. Er stellt an die Tür sich des Zwingers zur Wacht, Er schwinget den Schweif,er brüllet mit Macht, Sie flehend,gebietend und drohend begehrt Hinaus; er im Zorn den Ausgang wehrt. Und draußen erhebt sich verworren Geschrei. Der Jüngling ruft: bring Waffen herbei, Ich schieß ihn nieder,ich treff ihn gut. Aufbrüllt der Gereizte schäumend vor Wut. Die Unselige wagt's sich der Türe zu nahn, Da fällt er verwandelt die Herrin an: Die schöne Gestalt,ein gräßlicher Raub, Liegt blutig zerrissen entstellt in dem Staub. Und wie er vergossen das teure Blut, Er legt sich zur Leiche mit finsterem Mut, Er liegt so versunken in Trauer und Schmerz, Bis tödlich die Kugel ihn trifft in das Herz. |
ミルテを飾り 花嫁の宝飾を身につけて 檻番の娘、バラの乙女が ライオンの檻の中へと足を踏み入れた、ライオンは横たわる 主人の足元に、まとわりつくように 力強き獣は、かつては野生で気が荒かったが 従順で賢そうに今や主人を見上げている 若い娘は、優しげに喜びにあふれて 愛おしそうに彼を撫で そして涙を流す 「あたしたち もうずいぶん長いこと経ってしまったのね 子供のときからずっと遊び友達だったけれど あたしたちずっと好き合っていたわね そんな子供時代も もう過ぎ去ってしまった お前も力に満ちて揺するようになったわ、思いもしないうちに お前の豊かなたてがみの 王様のようなその頭を あたしも大きくなったのよ、わかるでしょ、あたし もう幼稚なこと考えてる子供じゃないの ずっと子供のまま お前のそばにいられたらいいのにね あたしの強くて、忠実で、正直なライオンちゃん でもあたし行かなくちゃなんないの、みんなが決めちゃったんだけど 遠くの国へと 知らない男の人に連れられて カレは思ったの あたしってキレイだと あたしプロポーズされて、話は決まっちゃったの 髪に花輪もあるでしょ、あたしの良いお友達さん 涙で目がぼやけちゃったわ あたしの言ったこと良くわかったかしら? 怖い目で見てるのね あたし行っちゃうの、あなたもおとなしくしていてね あそこにカレが来るのが見える、もうあたし行かなくちゃ じゃああげましょう、お友達、あなたに最後のキスを」 ライオンに娘の唇が触れたとき 檻が震えたのが分かったろう そして彼が檻のそばに若者を見たとき 恐怖が捕えた 不安な花嫁を ライオンは檻の出口のところに立ちはだかった 尻尾を振りまわし 力の限りに咆えたのだ 娘は哀願し、命令し、脅かした 外に出ようと、だが怒りに燃えた彼はそれを拒んだ 檻の外では動転した叫びがあがる 若者は叫ぶ:「銃を持ってこい 奴を撃ってやる、一撃で倒す!」 怒りに駆り立てられ ライオンは泡を吹く 哀れな娘は思い切って戸口に近づこうとしたが すっかり変わってしまったライオンは主人に襲いかかった 美しい姿は、無残な餌食と化し 血まみれに引き裂かれ 塵にまみれる 大切な血を流してしまい ライオンは遺体のそばに悲痛な姿で横たわって 悲しみと痛みに茫然としていたが 弾丸がその心臓を貫き 命を奪い去った |
作品30に引き続いて3つの歌曲です。作品30が男の生きざま3種3様であったのに対し、こちらの3曲は様々な女性のありようを描き出しています。作曲の時期が1840年の秋で、ちょうどあの人気の高い連作歌曲集「女の愛と生涯」作品42とほぼ同時期の作品、そして詩人も同じシャミッソーです。
また、これら3曲はバラードとは銘打っておりませんけれども、スタイル的にはバラードと言って良いでしょう(特にこの第1曲)。
よく知られたロシア民謡「トロイカ」を思い起こさせる寂しいメロディで最初の情景描写は始まります。まるでこれから起こる悲劇を予感させるかのような...
そのあとの娘の長い長い語りかけはとても純真で美しいメロディ、それだけに一層聴かされるライオンにはつらいのでしょう。冒頭のトロイカのメロディが再び戻ってきますが、今度は激しく、テンポも速くなり一気に緊迫感が増します。そして心ならずもライオンは愛する娘を手にかけてしまったのでした。最後は再び冒頭のようにゆっくりとこの主題が寂しげに歌われ、そしてライオンも死を迎えるのでした。
娘の長いセリフがありますが、この曲男性の共感を得る歌詞だからでしょうか。けっこう男声によって歌われることが多いです。
( 2010.12.02 藤井宏行 )