Die feindlichen Brüder Op.49-2 Romanzen und Balladen II |
敵同士となった兄弟 ロマンスとバラード第2集 |
Oben auf des Berges Spitze Liegt das Schloß in Nacht gehüllt; Doch im Tale leuchten Blitze, Helle Schwerter klirren wild. Das sind Brüder,die dort fechten Grimmen Zweikampf,wutentbrannt. Sprich,warum die Brüder rechten Mit dem Schwerte in der Hand? Gräfin Lauras Augenfunken Zündeten den Brüderstreit. Beide glühen liebestrunken Für die adlig holde Maid. Welchem aber von den beiden Wendet sich ihr Herze zu? Kein Ergrübeln kann's entscheiden - Schwert heraus,entscheide du! Und sie fechten kühn verwegen, Hieb auf Hiebe niederkracht's. Hütet euch,ihr wilden Degen. Grausig Blendwerk schleicht des Nachts. Wehe! Wehe! blut'ge Brüder! Wehe! Wehe! blut'ges Tal! Beide Kämpfer stürzen nieder, Einer in des andern Stahl. - Viel Jahrhunderte verwehen, Viel Geschlechter deckt das Grab; Traurig von des Berges Höhen Schaut das öde Schloß herab. Aber nachts,im Talesgrunde, Wandelt's heimlich,wunderbar; Wenn da kommt die zwölfte Stunde, Kämpfet dort das Brüderpaar. |
あの山の頂きの上 夜に包まれて城が立っている だが、谷底では 閃光がきらめき ふたつの剣が荒々しくぶつかり合っている それは兄弟だ、そこで争っているのは、 激しい決闘だ、怒りに燃えた 告げよ、何ゆえこの兄弟が 剣を手にして争っているのかを? 伯爵令嬢ラウラの瞳のきらめきが 兄弟の諍いに火をつけたのだ 二人は愛に酔いしれて燃えあがる この気高くも美しい乙女に だが、二人のうちどちらに 彼女の心はなびくのか? 思いめぐらすだけではそれは決められまい 剣を抜け、さあ決めてやるぞ! そして彼らは激しく大胆に戦った 一撃また一撃と振り下ろされる響き 気を付けよ 荒くれ剣士たちよ 夜には恐ろしき幻影が忍び寄ってくるのだから 悲しや! 悲しや! 血にまみれた兄弟よ! 悲しや! 悲しや! 血にまみれた谷間よ! 二人の剣士は倒れ臥した、 互いの刃の下に 何百年もが過ぎ去り 何世代もが墓に埋もれた 悲しげに山の高みより 荒れ果てた城が見下ろしている だが毎晩、谷の底では ひっそり奇妙にさまよい出るものがある 十二時がやってくると そこで争い合うのはあのふたりの兄弟 |
第1曲目と同じハイネの詩ですが、こちらは実際の史実ではなく、16世紀後半のライン川中流のシュテルンベルグでの伝説から取られたものです。隣接する二つの城シュテルンベルグとリーベンシュタインに住む二人の兄弟ハインリヒとコンラッドが、兄弟同然に育った娘ヒルデガルドを巡って相争う物語。ハイネの書いたものほどドラマティックではなく、話も昼のメロドラマのように込み入っておりますが、かつては相当有名な話であったようです。シューマンの付けた曲は第1曲ほど有名ではありませんが、こちらも緊迫感あふれた聴きごたえのある作品です。
( 2010.11.20 藤井宏行 )