Dichters Genesung Op.36-5 Sechs Gedichte aus dem Liederbuch eines Malers |
詩人の回癒 ある画家の歌の本よりの6つの詩 |
Und wieder hatt' ich der Schönsten gedacht, Die nur in Träumen bisher ich gesehen; Es trieb mich hinaus in die lichte Nacht, Durch stille Gründe mußt ich gehen. Da auf einmal glänzte das Tal, Schaurig als wär es ein Geistersaal. Da rauschten zusammen zur Tanzmelodei Der Strom und die Winde mit Klingen und Zischen, Da weht' es im flüchtigen Zuge herbei Aus Felsen und Tale,aus Wellen und Büschen, Und im Mondesglanz,ein weißer Kranz, Tanzten die Elfen den Reigentanz. Und mitten im Kreis ein luftiges Weib, Die Königin war es,ich hörte sie singen: »Laß ab von dem schweren irdischen Leib, Laß ab von den törichten irdischen Dingen! Nur im Mondenschein ist Leben allein! Nur im Träumen zu schweben,ein ewiges Sein! Ich bin's,die in Träumen du oft gesehn, Ich bin's,die als Liebchen du oft besungen, Ich bin es,die Elfenkönigin, Du wolltest mich schauen,es ist dir gelungen. Nun sollst du mein auf ewig sein, Komm mit,komm mit in den Elfenreihn!« Schon zogen,schon flogen sie all um mich her, Da wehte der Morgen,da bin ich genesen. Fahr wohl nun,du Elfenkönigin, Jetzt will ein andres Lieb ich mir erlesen; Ohn Trug und Schein und von Herzen rein Wird wohl auch für mich eins zu finden sein. |
そしてもう一度私はあの美しい人のことを思った 夢の中でしかまだ見たことのない彼女を 私は外へと導かれる 明るい夜に 静かな谷間を抜けてゆくと その時突然 谷間が光ったのだ まるで亡霊の広間のように不気味に そして寄せ集まってダンスのメロディが鳴り響いた 水の流れや風が ざわざわ ごうごうと そしてそこへゆらゆらと吹き寄せられてきた 岩場や谷間から 波間から茂みから 月明かりの中、白い輪で 妖精たちが輪舞を踊りだしたのだ 輪の真ん中にはひとりの軽やかな女 女王様だ、私は彼女が歌うのを聞いた 「重たいこの世の肉体を脱ぎ捨てよ 愚かなるこの世のことどもを打ち捨てよ 人生はただ 月の光の中だけにあるのじゃ! ただ夢の中に漂うこと、これぞ永遠の生なるぞ」と わらわなのじゃ お前が夢でしばしば見し女は わらわなのじゃ お前が恋人としばしば讃えし女は わらわなのじゃ 妖精の女王は お前はわらわに会いたいと望み それは叶えられた 今やお前は永遠にわらわのものじゃ 来たれ 来たれ 妖精の踊りの輪に」 もう近付いてきていて 妖精たちは私のまわりを飛び回る そこへ朝の風が吹き、私はわれに返った さらば 妖精の女王よ さあ今こそ私は別の恋人を探すこととしよう 夢や幻の中でなく 心の清らかな人を 私にもそんな人がきっと見つけられるだろう |
詩人が異界に迷い込み、そこに現れた妖精の女王に誘惑されるという、けっこうありがちなお話です。もっともここでは最後にハッと我に返り、連れ去られることは未遂に終わりました。タイトルの「詩人の回癒(快癒)」ということから想像されますように、恐らく病にうなされる中で見た幻想がこの妖精の女王なのでしょう。ですから、もしも連れ去られていたら詩人は回復することなくあの世へと旅立っていってしまったのかも知れません。
そんなことを考えるとけっこう怖い歌なのではありますが音楽は至極のどかに飄々として流れて行きます。
妖精の登場するところから鳴り響くピアノのメロディはくるくる揺れ動く妖精たちの踊りを描き出していて、とてもキレイで印象的。
最後は自分もリアルな恋人を見つけるんだ、という決意を述べて終わっております。うーむやはりあまり緊張感は感じられない...
( 2010.11.07 藤井宏行 )