An den Sonnenschein Op.36-4 Sechs Gedichte aus dem Liederbuch eines Malers |
太陽の光によせて ある画家の歌の本よりの6つの詩 |
O Sonnenschein,o Sonnenschein! Wie scheinst du mir ins Herz hinein, Weckst drinnen lauter Liebeslust, Daß mir so enge wird die Brust! Und enge wird mir Stub' und Haus, Und wenn ich lauf zum Tor hinaus, Da lockst du gar ins frische Grün Die allerschönsten Mädchen hin! O Sonnenschein! Du glaubest wohl, Daß ich wie du es machen soll, Der jede schmucke Blume küßt, Die eben nur sich dir erschließt? Hast doch so lang die Welt erblickt, Und weißt,daß sich's für mich nicht schickt; Was machst du mir denn solche Pein? O Sonnenschein! o Sonnenschein! |
おお 太陽の光よ、おお 太陽の光 お前はぼくの心の中に射し込んできて ここに愛の喜びを目覚めさせるけど それにはあまりに狭すぎるぼくの胸! そしてぼくには息苦しくなったのだ この部屋も家も ぼくは戸口から外に駆けだすと そこにはお前がもう誘いだしているのだ 爽やかな緑の中へ とびきり美しい女の子たちをみんな おお 太陽の光よ お前は思ってるんだろう ぼくもお前みたいにしなけりゃならないって かわいい花みんなにくちづけをすることを お前のことばかりを見上げている花たちに でもずっと長いことこの世界を見てきたから 知ってるんだろう、ぼくにはそんなことが似合わないってこと それなら何でお前はぼくをこんなに苦しめるんだ? おお太陽の光よ! おお太陽の光よ! |
内気で引っ込み思案な青年の春の目覚め、と評してしまうと失礼に過ぎますでしょうか。明るい陽気に誘われて外に出てはみたものの、やはりどこかなじめないものを感じて戸惑っているウブな青年の姿を描き出していて、なんとも微笑ましいものを感じてしまいます。とりわけインパクトがあるのは2節目の終わり、「女の子たちを(Mädchen hin)」と叫んでから彼は絶句し、そのあとをピアノ伴奏だけがお茶目に歌のメロディをなぞって受けるところです。そのあとはこの明るい世界になじめない悩みを切々と訴えますが、最後の節ではまた冒頭の明るいメロディが戻ってきて、「苦しめるんだdenn solche Pein?」のところで再び絶叫、そして最後の太陽への呼びかけは力なく、終止形を取らずにぷっつりと終わってしまいます。
この悩み多きこの主人公のいじけ具合とは裏腹な明るく決然としたメロディはシューマンの歌曲の中でもとりわけ印象的で、作曲者やメンデルスゾーンとも親交のあったスウェーデン出身のソプラノ歌手、イェニー・リンドの愛唱曲として作曲者存命中は大変良く知られていた曲であったようです。それもあってかつてはシューマン歌曲の代表曲のひとつと言えるようなポピュラリティを得ており、今でもこの歌曲集を離れて単独で歌われることの多い作品です。
( 2010.11.07 藤井宏行 )