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Ländliches Lied   Op.29-1  
  Drei Gedichte nach Emanuel Geibel
田舎の歌  
     ガイベルによる3つの詩

詩: ガイベル (Franz Emanuel August Geibel ,1815-1884) ドイツ
    Jugendgedichte - 3. Drittes Buch - Athen - Ländliche Lieder 1 Frühling

曲: シューマン,ロベルト (Robert Alexander Schumann,1810-1856) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Und wenn die Primel schneeweiß blickt
am Bach aus dem Wiesengrund,
wenn die Kirschblüt nickt
und die Vöglein pfeifen im Wald allstund:
da flickt der Fischer das Netz in Ruh,
denn der See liegt heiter im Sonnenglanz;
da sucht das Mädel die Schuh
und schnürt das Mieder sich eng zum Tanz,
und denket still,
ob der Liebste nicht kommen will.

Es klingt die Fiedel,es brummt der Baß
der Dorfschulz sitzet im Schank beim Wein,
die Tänzer drehn sich ohne Unterlaß
im Abendschein.
Und geht's nach Haus um Mitternacht,
Glüh-Würmchen trägt das Laternchen vor;
da küßt er sein Dirnel sacht
und sagt ihr leis ein Wörtchen ins Ohr,
und sie denken beid':
o du selige fröhliche Maienzeit!

そしてプリムローズが雪の白さで顔をのぞかせるとき
牧場から流れる小川のそば
そしてまたサクランボの花が揺れ
そして鳥たちが森の中で一日中さえずているとき
そこでは漁師が穏やかに網を繕い
そして湖は太陽の光に輝いている
乙女は靴を探し
上着のひもを固く結ぶ ダンスをしに行こうと
そして静かに思うのだ
愛しい人は来ないのかしらと

フィドルが鳴り響き、ベースがうなる
村長さんは酒場に座ってワインをあおる
踊り子たちは休むことなく回り続ける
リンデの木のそば、リンデの木のそばの夕暮れ
真夜中に家へと帰るときには
ホタルたちがランタンのかわりとなって案内してくれる
そこで若者は娘にやさしくキスをして
彼女の耳元にそっとささやく
そして彼らふたりは思うのだ
ああ 素敵な 幸せな五月!と


シューマンの作品29は様々なスタイルの3つの重唱曲を集めたもので、詩はすべてガイベルによるものです。ちょうどこの後の作品30もすべてガイベルの詩による歌曲ですが、両者ともに1840年の夏の作品で、恐らくは同時期に書かれたもののように思われます。この3曲の中では第3曲の「ジプシーの生活(流浪の民)」が飛びぬけて有名で、他の2曲はほとんど聴かれることはありませんが、いずれも女声のアンサンブルの美しいなかなか素敵な曲です。

第1曲目はのどかな田舎の春の情景。ふたりのソプラノによって歌われます。ガイベルのつけたタイトルは「春」でしたが、シューマンはこのようにタイトルを変えて、よりのどかさを強調しています。
女声の掛け合いとピアノの歯切れのよいリズム、ところどころにリタルダンドを絡ませて、とても爽やかに春の喜びを紡ぎ出しています。

( 2010.11.03 藤井宏行 )


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