Was soll ich sagen? Op.27-3 Lieder und Gesänge I |
私に何が言えようか? 歌曲と歌 第1集 |
Mein Aug’ ist trüb, Mein Mund ist stumm, Du heißest mich reden, Es sei darum! Dein Aug’ ist klar, Dein Mund ist rot, Und was du nur wünschest, Das ist ein Gebot. Mein Haar ist grau, Mein Herz ist wund, Du bist so jung Und bist so gesund. Du heißest mich reden, Und machst mir’s so schwer. Ich seh’ dich so an Und zittre so sehr. |
私の目は濁り 私の口は黙している お前は私に語れという ならばそうしようか! お前の目は澄み お前の口は赤い お前が望みさえすれば それは命令となるのだ 私の髪は白く 私の心臓は痛む お前はとても若く そしてお前はとても健康だ お前は私に語れというけれど 私にそれはあまりにつらいことだ 私はお前を見つめ そして激しく震えるのだ |
この詩は、同じくシューマンがメロディをつけた「女の愛と生涯」の作者シャミッソーの手になるものです。歌の年1840年にはこの「女の愛と生涯」ばかりでなくこのシャミッソーの詩につけた歌曲がたくさんありますが、これはその中でも一番最初のものでしょうか。あの詩集でも若い女性が年上の男性に憧れ、そして結婚をするというテーマでしたけれども、何とシャミッソー自身38歳のときに20歳!年下の女性と結婚をしたのだそうです。そしてこの詩はそんな頃に書かれたのだといいます。
38歳にしてはやけに老け込んだおっさんだなあと思えなくもありませんが、まあその歳でも自分に娘がいたとしたら、その子とあまり変わらない年齢のキャピキャピ(死語)の子と結婚しようとしていることになりますから、自分の老いを必要以上に感じてしまうということもあるのでしょうかね? ちなみにシューマン自身に取っては、妻となったクララは9歳下ということですのでこちらもまたシャミッソー程ではないにせよ年齢のギャップを感じることもあったのでしょうね。そんなところもこの詩を選んだひとつの理由なのかなあと邪推をしてしまいます。これは私にとっては想像を絶するシチュエーションですのでこれ以上の論評は避けたいと思います。
シューマンはこれを非常に重苦しいメロディの曲にしています。暗く沈んでいるというわけではないのですが、どこか戸惑い、気後れしているような感じが面白いです。若い奥さんを貰った男の感じ方っていうのはこんなものなのでしょうか?
( 2010.10.16 藤井宏行 )