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杓子売唄    
  日本民謡集第1集
 
    

詩: 日本民謡 (Minyou,-) 
      

曲: 間宮芳生 (Mamiya Michio,1929-) 日本   歌詞言語: 日本語


こら見さいな 見さいな
杓子舞とは 見さいな
コラ杓子売の勘三郎
のみにかんな
めぐり刀を みんな荷と しっからがいて
どっこいしょて 背負いまして
こういうあばいに かんまえて
こういうあばいに かんまえて

コラ一の坂コも てくてく
二の坂コも てくてく
三の坂コは さかざかで
むこうに杓子木がありそうだと
延び上がって 見たれば
延び上がって 見たれば

コラ一に切るのは銀杏の木で
二に切るのは にんが木
三に切るのは 桜の木
コラ四に切るのは したみの木
五に切るのは ごまぞうで
六つに切るのは むくれんの木

七つ切るのは 南天の木
コラ八つに切るのは 山桑で
九つ切るのは こんごの木
十にとちの木の 枝を
そろりそろりと 払うて
三年三月 かかって
杓子三ちょう ほったれば

三ちょうの杓子をば
みんな荷と しっからがいて
どっこいしょて 背負いまして
こういうあばいに かんまえて
こういうあばいに かんまえて
 
    (秋田県民謡)



作曲家・間宮芳生さんのライフワークとも言える日本民謡の研究&編曲は1955年から始まり、この45年あまりの間に24曲の作品が作られました。
この杓子売唄は1955年の一番最初期の作品、後年の作品の緻密さはありませんが、初めて手がけた瑞々しさに溢れています。これは秋田県民謡で、ユーモラスな大道芸を弾けるようなピアノ伴奏で彩り、24曲の中でも指折りの面白い作品です。民謡集24曲をまとめて聴くことのできるFontecの録音で、氏の良き解釈者で作曲家の寺嶋陸也のピアノ伴奏、それに民謡歌手も顔負けの絶妙な唄を聴かせてくれる森一夫のテノールで収録されています。
私は初めて聴いた時、この森さんは民謡専門の歌手だとばかり思った程、東北訛りもピタリとはまって実に良い演奏です。
森さんの唄では他にも有名な「南部牛追唄(岩手県)」や「こきりこ(富山県)」などしみじみした歌からこの杓子売唄のように軽妙なものまで多彩に素晴らしいです。
このCD、他にもなんとダウランド&カンパニーなどでの古楽の歌唱で有名な波多野睦美さんが、やはり作曲家 野平一郎のピアノ伴奏でさそり節(岩手県民謡)や田植唄(富山県民謡)などを歌っているのを聴くことができます。
彼女の全く別の側面を聴くのもまた一興、ぼんやり聴くと矢野顕子さんみたいな雰囲気で面白いです。
彼女の最高傑作は「とのさ(山形県)」、ぜひ聴いてみてください。
(子守歌(秋田県)もなかなか良い)

( 2003.08.03 藤井宏行 )


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