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Was hör' ich draußen vor dem Tor   Op.98-2  
  Lieder Und Gesänge Aus Wilhelm Meister
何が聞こえるのじゃ あの門の外から  
     ヴィルヘルム・マイスターよりの歌曲と歌

詩: ゲーテ (Johann Wolfgang von Goethe,1749-1832) ドイツ
    Wilhelm Meisters Lehrjahre (ヴィルヘルム・マイスターの修業時代 1796) Vol.2 Ch.11 Was hör' ich draußen vor dem Tor

曲: シューマン,ロベルト (Robert Alexander Schumann,1810-1856) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Was hör' ich draußen vor dem Tor,
Was auf der Brücke schallen?
Laßt den Gesang zu unserm Ohr
Im Saale widerhallen!
Der König sprach's,der Page lief,
Der Knabe kam,der König rief:
Bring ihn herein den Alten.

Gegrüßet seid,ihr hohe Herrn,
Gegrüßt ihr schöne Damen!
Welch reicher Himmel! Stern bei Stern!
Wer kennet ihre Namen?
Im Saal voll Pracht und Herrlichkeit
Schließt Augen euch,hier ist nicht Zeit
Sich staunend zu ergötzen.

Der Sänger drückt die Augen ein,
Und schlug die vollen Töne,
Der Ritter schaute mutig drein,
Und in den Schoß die Schöne.
Der König,dem das Lied gefiel,
Ließ ihm,zum Lohne für sein Spiel,
Eine goldne Kette holen.

Die goldne Kette gib mir nicht,
Die Kette gib den Rittern,
Vor deren kühnem Angesicht
Der Feinde Lanzen splittern.
Gib sie dem Kanzler,den du hast,
Und laß ihn noch die goldne Last
Zu andern Lasten tragen.

Ich singe,wie der Vogel singt,
Der in den Zweigen wohnet.
Das Lied,das aus der Kehle dringt,
Ist Lohn,der reichlich lohnet;
Doch darf ich bitten,bitt' ich eins,
Laßt einen Trunk des besten Weins
In reinem Glase bringen

Er setzt es an,er trank es aus.
O Trank der süßen Labe!
O! dreimal hochbeglücktes Haus
Wo das ist kleine Gabe!
Ergeht's euch wohl,so denkt an mich,
Und danket Gott so warm,als ich
Für diesen Trunk euch danke.

何が聞こえるのじゃ あの門の外から
何が橋の上で鳴っているのじゃ?
かの歌をわれらが耳もとで
この広間の中で響かせるのじゃ
王はそう言って、小姓は走った
少年は戻り、王はこう命じた:
その老人をここへ連れてくるのじゃ

ごあいさつ申し上げます、皆様高貴な方々
ごあいさつ申し上げます、皆様麗しき淑女の方々
何と豊かなる天界でございましょう きら星また星と
誰が皆様方の名を存じあげましょう?
この大広間の中は華麗で豪壮ゆえ
閉じるのだ、汝ら瞳よ、時間がないのだ
それを見て楽しんでいるような時間は

歌い手は両の目をしっかり閉じて
豊かな音を響かせた
騎士は大胆に覗き込み
膝に目をやる佳人
王は、いたくその歌が気に入って
彼に与えようとした、演奏の褒美として
金の鎖を

「その金の鎖は私に下さいますな
鎖は騎士の方々に差し上げてください
その勇敢なお顔の前で.
敵の槍どもは砕けましょうから
お持ちのものは宰相殿へ差し上げてください
そして彼に一層の黄金の重荷を
他の重荷に加えて負わせて差し上げてください

私は鳥のように歌います
枝に住む鳥のように
喉から湧き出でるこの歌は
その報償です、豊かに報いられた
しかしよろしければ、ひとつだけお願いできますでしょうか
一杯の最上のワインを
澄んだグラスに入れてお持ち頂けませんでしょうか

彼は杯に口をつけて飲み干した
「おお甘美なる癒しの飲み物
おお! 三倍も幸せ溢れるこの家よ
これほどのものがささやかな贈り物であるなどとは
皆様方がご健勝であられるならば、私のことを思い
そして神様に心より感謝なさってください、ちょうど私が
この一杯に対し 皆様方に感謝致しますように


シューマンのヴィルヘルム・マイスターよりの歌曲は9曲からなりますが、ミニヨンの歌4曲とフィリーネの歌の合わせて女声5曲と、竪琴弾きの老人によって歌われる男声の歌4曲を交互に配している構成が興味深いところです。また曲順もほぼ小説に登場する順に並んでおり、ミニヨンと竪琴弾きの歌それぞれについて言えば完全に登場の順になっております。このためこの歌曲集を続けて聴いていると、どんどんと深い悲しみ、絶望にはまり込んでいくようで何とも恐ろしいものがあります。
この最初の竪琴弾きの歌は第2巻の第11章より。9曲の中では一番最初の詩となります。
ヴィルヘルムたちがいた食堂に現れた年老いた竪琴弾き。彼に興味を持ったヴィルヘルムたちは色々と彼のことを尋ね、そして歌を歌わせます。そのうちの1曲がこれで、小説で具体的に詞まで書かれているのはこれだけです。
王宮で歌う竪琴弾きは自分自身のことなのかはたまたお話の上のことなのか。シューマンの音楽は爽やかに屈託なく、この沈んだ貴重の歌曲集の中では第7曲のフィリーネの歌と並んで束の間の安らぎを与えてくれます。歌曲集の中でも一番長大で、5分以上もかかる大曲ですが、シューマンらしい美しいメロディが魅力的。

( 2010.10.08 藤井宏行 )


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