Nie ma czego trzeba Op.74-13 17 Chant Polonais |
何もないのだ 私の求めるものが 17のポーランドの歌 |
Mgła mi do oczu zawiewa z łona, W prawo i wlewo ćmi naokoło; Dumka na ustach brząknie i skona! Niemo,och! niemo,bo niewesoło. Nie ma bo,nie ma czego potrzeba! Dawno mi tutaj nudno,niemiło: Ni mego słońca! ni mego nieba! Ni mego czegoś! Czym serce żyło. Kochać i śpiewać było by błogo! W cudzej tu pustce śniłbym jak w domu: Kochać,o,kochać! i nie ma kogo! Śpiewać,o,śpiewać! I nie ma komu! Niekiedy wzrokiem ku niebu wiercę, Poświstom wiatru wcale nie łaję: Zimno,o! zimno,lecz puka serce, Że z dumką w insze odlecim kraje! |
霧は私の目の中へただよう 胸の中より 右も左も まわりは暗くなってゆく ドゥムカが口より湧き出で そして消えてゆく! 静かだ、ああ静かだ、寂しさのゆえに 何もない、何もないのだ 私の求めるものが ずっと前から 私はここで退屈で不愉快だった 私の太陽がないのだ! 私の空もないのだ! 何もないのだ!心を生かしてくれるものが 愛し 歌うことこそ幸せなのだ! この異郷の地で 私は故郷にいるような夢を見る 愛するのだ、おお愛する! だが誰もいない! 歌うのだ、おお歌う! だが誰もいない! 時にこの目は空を見つめる 吹きすさぶ風をののしりはしない 寒い、おお!寒いのだ、だが私の心はときめく ドゥムカを歌いながら、別の国へ私は去りゆくのだから |
異郷でひしひしと感じる孤独、というテーマは故郷ポーランドを離れて久しかったショパンの心にもグッと響くものがあったのでしょう。この詩につけた歌曲、人によってはショパンの歌曲の最高傑作と見なしていたりもします。葬送行進曲を思わせる冒頭のピアノに乗せてしみじみとつぶやくように歌われます。
ドゥムカというのはウクライナあたりが起源のスラブ圏一円で使われる民族舞曲で、ジプシー音楽であるチャルダーシュのように前半の哀愁を帯びたゆったりした部分と、後半の激しい踊りの部分とからなるものなのだそうです。ここでショパンが取り上げているのはゆったりとした前半の音楽ですね。
ショパンの付けたタイトルはたいへん訳しにくいところで、英訳でも邦訳でも「悲しみ」や「孤独」「あるべきものなく」など意訳のオンパレードです。直訳すると「私の必要なものは何もない」といったところ(2節目の冒頭にあるフレーズですね)、そこで私の付けた邦題は第2節の冒頭をそのまま取ることとしました。1845年の作曲です。
( 2010.09.26 藤井宏行 )