Fölszállott a páva |
孔雀は止まっている |
“Fölszállott a páva a vármegye-házra, Sok szegény legénynek szabadulására.” Kényes,büszke pávák,Nap-szédítő tollak, Hírrel hirdessétek: másképpen lesz holnap. Másképpen lesz holnap,másképpen lesz végre, Új arcok,új szemek kacagnak az égre. Új szelek nyögetik az ős,magyar fákat, Várjuk már,várjuk az új magyar csodákat. Vagy bolondok vagyunk s elveszünk egy szálig, Vagy ez a mi hitünk valóságra válik. Új lángok,új hitek,új kohók,új szentek, Vagy vagytok,vagy ismét semmi ködbe mentek. Vagy láng csap az ódon,vad vármegye-házra, Vagy itt ül a lelkünk tovább leigázva. Vagy lesz új értelmük a magyar igéknek, Vagy marad régiben a bús,magyar élet. “Fölszállott a páva a vármegye-házra, Sok szegény legénynek szabadulására.” |
「孔雀が止まっている 郡の役場の上に 多くの貧しき者たちに自由を与えようと」 繊細だが、自信に満ちた孔雀は 太陽のように目をくらませる羽で 知らせを告げている、明日にはすべてが変わるだろうと 明日にはすべてが変わるのだ すべてがようやく変わるのだ 新たな顔が 新たな瞳が 空に向かって微笑むのだ 新しい風が 古いハンガリーの木々に嘆きの声を上げさせるだろう われらは今や待ちわびているのだ、新たなるハンガリーの奇跡を われらは愚かで 一人残らず滅びるのだろうか それともわれらの信仰は実現するのだろうか 新たな炎よ、新たな信仰よ、新たな炉よ、新たな聖人たちよ お前たちは現れるのか それとも消えてしまうのか 炎はあの古い役場を焼き尽くすのか それともわれらの魂は縛られて座ったままなのだろうか ハンガリーの言葉にあらたな意味が付け加わるのか それとも相も変わらず悲惨なのだろうか、ハンガリー人の生活は 「孔雀が止まっている 郡の役場の上に 多くの貧しき者たちに自由を与えようと」 |
邦題では「飛べよ孔雀」あるいは「孔雀は飛んだ」となっていることが多いようですが、私が調べた限りのニュアンスではFölszállottは「枝に止まる」という意味の語のようでしたので、「孔雀は止まっている」というタイトルにさせていただきました。孔雀というのはハンガリーでは希望の象徴なのだそうで、そんな鳥が圧政の象徴である政府の役場の上に止まっているというのは、圧政からの解放を仄めかしているのでしょう。ハンガリーのボードレールとも称される詩人アディ・エンドレの詩は1907年の詩集「血と金 Vér és arany」ということでそれほど古いものではありませんが、この詩の冒頭と最後に使われている2行は、未確認ではありますが引用符がついていることからも類推されるように古い民謡から詩人が取ったものだと言われています。
このアディの詩による男声合唱曲をコダーイが書いたのは1936年、彼が収集した民謡のメロディを素材としたということですが、民謡そのものではないので彼のオリジナルと見てもよいでしょうか。更に彼は1939年にこれをオーケストラによる変奏曲にしています。
時はまさにファシズムが吹き荒れる1930年代後半。ハンガリーにも親ナチスドイツの政権ができていました。
コダーイがこのアディの詩を選び、伝統のメロディをつけたのも圧政への抗議の気持ちをこめてなのだともいいます。
あこがれをこめた五音音階の素朴なメロディは歌で聴いてもオーケストラで聴いても心に沁み入ってきます。
( 2010.09.25 藤井宏行 )