Familiengemälde Op.34-4 Vier Duette |
家族の肖像 4つの二重唱 |
Großvater und Großmutter, die saßen im Gartenhag; Es lächelte still ihr Antlitz, Wie'n sonniger Wintertag. Die Arme verschlungen, Ruhten ich und der Geliebte dabei, Uns blühten und klangen die Herzen, Wie Blumenhaine im Mai. Ein Bächlein rauschte vorüber Mit plätscherndem Wanderlied; Stumm zog das Gewölk am Himmel, Bis unseren Blicken es schied. Es rasselte von den Bäumen Das Laub verwelkt und zerstreut, Und schweigend an uns vorüber Zog leisen Schrittes die Zeit. Stumm blickte auf's junge Pärchen Das alte stille Paar. Des Lebens Doppelspiegel Stand vor uns licht und wahr. Sie sah'n uns an und dachten Der schönen Vergangenheit. Wir sah'n sie an und dachten Von ferner künftiger Zeit. |
おじいさんとおばあさん ふたりは座ってる 庭の生け垣のところ 穏やかに微笑んだ顔つきで それはまるで晴れた冬の陽だまりのよう 腕を絡め合って 私は愛する人とその傍で休んでる 二人の心は花咲き ときめいている それはまるで五月の花咲く茂みのよう 小川がそばを流れてゆく さらさらとさすらいの歌を歌いながら 雲は静かに空に浮かんでいるが やがて私たちの目から見えなくなる 木々はざわざわと音を立て 木の葉は枯れて散った そして何も言わずに私たちの傍を 静かな足取りで時間が行き過ぎる 穏やかな眼差しで若いふたりを見守る 何も言わない年老いたふたり 人生の合わせ鏡が 私たちの前にはっきりと立っているのだ ふたりは私たちを見つめながら思っているのだろう 美しかった昔のことを 私たちはふたりを見つめながら思うのだ 遥か遠くの未来を |
シューマン歌の年である1840年に書かれた4曲からなる2重唱曲。さまざまな愛の諸相を描き出しています。ちょうど「女の愛と生涯」を書いた頃にあたるようで、若々しい愛のときめきだけでなく、こんな感じのなんとも微笑ましくなるような素敵な歌も書いていたのですね。実際の彼はこの年に妻となるクララの父親とはうまく行っていませんでしたから、余計にこんな情景に憧れたのかも知れません。じっくりと人生を噛みしめるようなゆったりとしたメロディがとても印象的。テナーが主導するソプラノとの二重唱です。
フィッシャー=ディースカウとユリア・ヴァラディの夫妻による滋味あふれるデュエット(DG)、あるいはイアン・ボストリッジとドロテア・レシュマンによる若々しく爽やかな歌(Hyperion)、いずれも聴きごたえのある素敵な歌です。
( 2010.09.20 藤井宏行 )