Wie Georg von Frundsberg von sich selber sang Op.3-1 6 Lieder |
ゲオルグ・フォン・フルンツベルクはいかに自らのことを歌ったか 六つの歌 |
Mein Fleiß und Müh hab ich nie gespart Und allzeit gewahrt dem Herren mein; Zum Besten sein schickt ich mich drein, Gnad,Gunst verhofft,dochs Gemüt zu Hof Verkehrt sich oft. Wer sich zukauft,der lauft weit vor Und kömmt empor,doch wer lang Zeit Nach Ehren streit,muß dannen weit, Das sehr mich kränkt,mein treuer Dienst Bleibt unerkennt. Kein Dank noch Lohn davon ich bring, Man wiegt g'ring und hat mein gar Vergessen zwar,groß Not,Gefahr Ich bestanden han,was Freude soll Ich haben dran? |
私は努力と苦労をいとわなかった そしてつねにわが主人を崇めていた 最善を尽くすべく 私は自らを捧げてきた 慈悲を、恩寵を望んだのだ、しかし宮廷の考えは やたらと変わる 自らを高く買い、先陣を駆け 高みに昇る身、されど長い時間 栄誉を求めて遠きところにあらねばならぬ身 それが私には悲しいのだ、私の忠実な奉仕が 知られぬままでは いかなる感謝も恩賞も私には為されなかった 私は軽んじられ、そしてほとんど 忘れ去られている、強大な困難に、危険に 私は立ち向かったというのに、いかなる喜びが そこにはあったのか? |
世のサラリーマン諸氏にはとても身につまされる歌ではないでしょうか。私もこの歌は涙なくしては聴くことができません。グレン・グールドの伴奏で歌うドナルド・グラムの歌(Sony)がまた声に泣きが入ったような絶叫をしているので、聴いていても実にグッと来てすばらしいです。素朴なメロディはとてもあのシェーンベルクが書いたものとは思えませんが、一度聴いたら耳に残ります。
歌詞の出所は民謡詩集である「少年の不思議な角笛」ではありますが、ここでグチっていることにされているゲオルグ・フォン・フルンツベルクは16世紀に実在していた神聖ローマ帝国の軍人で、かなりの戦功もあって英雄として名を残したのだそうで、そんな歴史上の人物がこういう言葉を発しているところが何とも奇妙なミスマッチ感があるというところでしょうか。
作品1より立て続けに3作品が歌曲なのが興味深いところですが、この作品3、作曲時期は1899年より1903年までのかなり幅広い時期に渡っており、作品2よりも素朴な歌もあれば、のちの前衛的なスタイルを予感させるような歌もありというように極めて多様です。詩人も各曲まちまちで、ひとつの歌曲集としての一体感はないですが、その多様性は聴いていてもなかなか楽しい作品群です。
( 2010.09.12 藤井宏行 )