TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Lied Lynceus des Türmers   Op.79-27  
  Liederalbum für die Jugend
塔守リュンコイスの歌  
     若者のための歌のアルバム

詩: ゲーテ (Johann Wolfgang von Goethe,1749-1832) ドイツ
    Faust Teil 2(ファウスト 第2部 1833) ACT5_3 Tiefe Nacht Zum Sehen geboren

曲: シューマン,ロベルト (Robert Alexander Schumann,1810-1856) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Zum Sehen geboren,
Zum Schauen bestellt,
Dem Turme geschworen,
Gefällt mir die Welt.

Ich blick' in die Ferne,
Ich seh' in der Näh'
Den Mond und die Sterne,
Den Wald und das Reh.

So seh' ich in allen.
Die ewige Zier,
Und wie mir's gefallen,
Gefall' ich auch mir.

Ihr Glücklichen Augen,
Was je ihr gesehen,
Es sei wie es wolle,
Es war doch so schön !

見るために生まれ
見張ることを任され
この塔に誓いを立てながら
俺はこの世が気に入っている

俺は遠くを覗き
俺は近くを眺める
月やら星やら
森やら鹿やらを

そうやって万物の中に俺は見る
永遠の輝きを
そしてなんとそいつは楽しいことだ
それに俺は俺自身のことも気に入ってる

お前たち 幸せな両目よ
今までお前たちが見てきたものは
たとえ何であれ
とても美しかったのだ!


ゲーテのファウスト第2部の大詰め近く、塔守のリュンコイスは幸せ一杯のこんな歌を歌いながら見張り番についています。ところが何と皮肉なことに、彼はこの直後に見るもおぞましい悲惨か光景を目にすることになるのでした。

海岸埋め立ての大土木事業に邁進しているファウスト。しかしその下で働いている悪徳地上げ屋メフィスト(まあ悪魔ですから悪徳なのはしょうがないでしょうか)は、家の立ち退きを拒んでいた老夫婦を殺害し、家に火を放ちます。立ち上る炎を目撃してしまったのがまさにこの歌を歌ったばかりのリュンコイス...

歌の方は同じメロディを2回繰り返すのですが、1回目は詩の1・2・3節を、そして2回目は2・3・4節をと微妙にずれています。同じ語句を違ったメロディで歌うのは気になる人もおられるかも知れませんが私はあまり気になりませんでした。堂々たるメロディは彼の満足感を表しているのでしょうか。最後も力強く終わります。

( 2010.09.12 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ