In the woods Op.47-6 Eight Love Songs |
森の中で 8つの愛の歌 |
In the woods at eve I wandered, Through the sunset's crimson light, In the woods,in the woods at eve, There sat Damon playing softly On the flute for my delight; So,la la la la la la la la la la la la la la la la! Ah he swore he loved me truly, Begged me would I love him,too, And bewitched me with his music, As it thrilled the forest through; So la la la la la la la la la la la ia la la la la la la! Now my heart n'er ceases longing For a lover proven false,proven false,proven false, And that cruel,haunting music, Still my restless soul enthralls. So,la la la la la la la la la la la la la la la la! |
夕暮れの森の中、私はさまよい歩く 日没の真っ赤な光が差し込む 森の中、夕暮れの森の中 ダーモンは優しく 私のために横笛を吹く ソララ・ラララ・ラララ ああ、彼は私を愛してるといい 自分を愛してくれと頼んだ そして笛の音で私に魔法をかけた 森の中に響き渡る魔法を ソララ・ラララ・ラララ 私の心は恋人を求め続ける 不誠実な人だと分かっていても 残酷にも甘いその調べは 今も私の心の中に鳴り響く ソララ・ラララ・ラララ |
ドイツ歌曲に詳しい方なら、どこかで見たような詩だと気付かれることと思います。ヴォルフがゲーテ歌曲集の中で作曲したのと同じ詩「恋に目覚めた娘」を下敷きに、アメリカの作曲家マクダウェルが作詞作曲したのがこの曲です。
(だいぶ歌詞は違いますので注意。なお、この前編であります「お澄まし娘」をヴォルフの項でご紹介しておりますのでよろしければご覧下さい)
名ピアニストとして鳴らし、多数のピアノ曲や有名な2曲のピアノ協奏曲を残したマクダウェルは、また40曲あまりの歌曲も残しています。そのほとんどがドイツロマン派の味わいで、初期の作品はハイネやゲーテの詩をドイツ語の原詩のままで曲を付けていますから、シューマンの歌曲のように聞こえることもしばしばです。しかも名ピアニストらしく、伴奏の響きも華麗に作っていますからますますシューマニスティックといえましょう。
この曲は(残念ながら?)、大幅に原詩を改作した英語の詩に曲を付けていますが、雰囲気はそのままドイツ歌曲です。ソララの部分のリフレインは田舎風に実に素朴で、私はこちらの方がヴォルフの作曲したものよりも気に入りました。
アメリカの音楽というのも、この時代はいろいろな移民のものを吸収して形成されつつある時代でしたから(この人より以前に活躍したにも関わらず、アメリカ音楽としかいいようのない作品を書いたゴットシャルクのような異色の人も居るには居ますけれども)、このころの作品はヨーロピアンスタイル満載です。その中でもマクダウェルはなかなかのメロディストなので、まとめて聴くのならこの人をお勧めします。NaxosのAmerican Classicsで、この人の歌曲全集が出ています。
(アメリカ以外では Marco Polo?でもCD Nowで問題なく注文できました)
タープのテノールに、このレーベルにマクダウェルのピアノ曲を多数収録しているスペシャリスト、バルバガロの伴奏で聴くことが出来、この珍しい、しかしながら愛すべき作品群を堪能しました。
( 2002.01.05 藤井宏行 )