Nacht Sieben frühe lieder |
夜 7つの初期の歌 |
Dämmern Wolken über Nacht und Tal, Nebel schweben,Wasser rauschen sacht. Nun entschleiert sich's mit einemmal: O gib Acht! Gib Acht! Weites Wunderland ist aufgetan. Silbern ragen Berge,traumhaft groß, Stille Pfade silberlicht talen Aus verborg'nem Schoß; Und die hehre Welt so traumhaft rein. Stummer Buchenbaum am Wege steht Schattenschwarz,ein Hauch vom fernen Hain Einsam leise weht. Und aus tiefen Grundes Düsterheit Blinken Lichter auf in stummer Nacht. Trinke Seele! Trinke Einsamkeit! O gib Acht! Gib Acht! |
暮れなずむ雲は夜と谷間の上 霧がただよい、流れは穏やかにざわめく 今こそみなヴェールを脱ぐのだ 一斉に おお、心せよ! 心せよ! 広大な奇跡の地が開けてくる 銀色に山々はそびえ立つ 夢のように巨大に 静かな小道が銀色に輝きながら伸びている 隠された山の懐より そしてこの秘められた世界は夢のように純粋だ 一本の沈黙したブナの木が道端に立っている 黒い影となって、遠くの林からのそよ風は ひっそりと静かに通り過ぎる そして深い地上の暗闇の中から 灯りが沈黙の夜にまたたく 魂を飲み込め、孤独を飲み込め おお、心せよ、心せよ! |
神秘的な山の夕暮れの状況を美しく描写した詩に、これもまた美しい音楽が付けられています。だんだんと闇に包まれていくあたりの景色。心だけは何か満たされぬものがあるのでしょうか。
7つの初期の歌は1905〜1908年にかけての作曲ということで、まだとろけんばかりにロマンティックな旋律に満ち溢れています。ベルクの代表作か?と言われると少々違うようにも思いますが、この美しさは多くの方に好まれるところなのでしょうか。いわゆる新ウィーン楽派の歌曲の中では飛びぬけて演奏頻度が高い作品のようです。
作曲者自身の手になる管弦楽伴奏の版もあり、これでも良く取り上げられます。
( 2010.07.09 藤井宏行 )