An Chloë K.524 |
クロエに |
Wenn die Lieb' aus deinen blauen, hellen,offnen Augen sieht, und vor Lust hinein zu schauen mir's im Herzen klopft und glüht; und ich halte dich und küße deine Rosenwangen warm, liebes Mädchen,und ich schließe zitternd dich in meinem Arm, Mädchen,Mädchen,und ich drücke dich an meinen Busen fest, der im letzten Augenblicke sterbend nur dich von sich läßt; den berauschten Blick umschattet eine düstre Wolke mir, und ich sitze dann ermattet, aber selig neben dir. |
恋する気持ちが君の青い 澄んだ瞳からのぞき ぼくもその瞳を見ていたくて 胸がどきどきした時には ぼくは君を抱きしめキスをする バラのようなほっぺに かわいこちゃん、君を抱きしめるんだ 震えながらぼくのこの腕に! ねえ君、ねえ君、ぼくは固く 君の体をぼくの胸に押し付ける ぼくが死んでしまうその時まで 一生離さないよ その時は、ぼくの幸せ一杯の眼差しにも 暗い雲の影が覆い ぼくは力なくへたり込んでいるだろう それでも、天国なのだ、君がそばにいれば |
モーツアルトのオペラ「フィガロの結婚」の中で恋に目覚めた姿をユーモラスに描写されている少年侍従ケルビーノをほうふつとさせる、思春期のふるえが実に美しく表現されています。素朴そのものの詩もいいですが、やはり旋律の美しさ、恋に目覚めたケルビーノが幸せ一杯で歌っているような(一緒にいるのはバルバリーナか?)、可愛い恋人達(オペラを見る限りでは2人とも結構スレている気がしないでもないですが...)の至福感が愛らしいです。といいながらも最後は死ぬまで離さないよ、という言葉から死ぬ瞬間を連想しているところまで出てきてちょっとシュールだったりもするのですが...
この詩はもっと長いもの(13節)なのだそうですが、その中の4節で歌われることがほとんどですので、その4節だけを取り上げさせて頂きました。
この歌はアメリンクのEMI 盤で聴き込みました。その印象があまりに強いので、他を受け付けなくなってしまいましたが、いい演奏があれば教えて下さい。
シュワルツコップのはどうでしたっけ?結構面白そうな気はするのですが(LPを買った記憶もある)なぜか印象に残っていません。
( 1998.06.20 藤井宏行 )