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Der Mann von Wort   Op.99  
 
約束を守る男  
    

詩: クラインシュミット (Friedrich August Kleinschmidt,1749-1838) ドイツ
      

曲: ベートーヴェン (Ludwig van Beethoven,1770-1827) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Du sagtest,Freund,an diesen Ort
komm ich zurück,das war dein Wort.
Du kamest nicht; ist das ein Mann,
auf dessen Wort man trauen kann?

Fast größer bild' ich mir nichts ein,
als seines Wortes Mann zu sein;
wer Worte,gleich den Weibern,bricht,
verdient des Mannes Namen nicht.

Ein Wort,ein Mann,war deutscher Klang,
der von dem Mund zum Herzen drang,
und das der Schlag von deutscher Hand,
gleich heil’gen Eiden,fest verband.

Und dieses Wort,das er dir gab,
brach nicht die Furcht am nahen Grab,
nicht Weibergunst,noch Menschenzwang,
nicht Gold,nicht Gut,noch Fürstenrang.

Wenn so dein deutscher Ahne sprach,
dann folg',als Sohn,dem Vater nach,
der seinen Eid: Ein Wort,ein Mann,
als Mann von Wort verbürgen kann.

Nun sind wir auch der Deutschen wert,
des Volkes,das die Welt verehrt.
Hier meine Hand; wir schlagen ein,
und wollen deutsche Männer sein.

きみは言ったよな、友よ、この場所に
戻ってくると、それがきみの約束だ
君は戻ってこなかった;そんなことで一体ひとりの男が
その言葉を信頼してもらえると思っているのか?

これ以上偉大な男など私には思い描けない
自分の言葉に責任を持つ者ほどには
その言葉を、女どもがするように、破るようなやつは
男の名に値しないのだ

「男に二言なし」 この言葉はドイツ魂に響き
口より心へと伝わってゆく
そしてドイツ人の手の一撃によって
神聖な誓いと同じように結び付けられるのだ

これらの言葉、彼が君に与えたならば
何があっても破られることはない、近付く墓場への恐怖も
女への寵愛も、人としての義務も
黄金も、財産も、公爵としての地位でさえも

そしてそんな風に君にドイツの祖先たちが話しかけるときには
息子がそうするように、父に従うのだ
彼の誓いの言葉 それは「男に二言なし」
約束を守る男が保証できることだ

今こそわれらもドイツの美徳となろう
世界中が尊敬する民族として
さあわが手を取れ、握手をしよう
ドイツの模範となるのだ

こういうナショナリスティックでマッチョな詩は21世紀にははるか昔の遺物としてもう流行らないからでしょうか。この曲今ではまず取り上げられることはないようです。私もベートーヴェンの歌曲をいくつか訳してみようと思うまではこの曲は存在すら知りませんでした。
現在ごく稀に歌われるときでも、特に女性の方の怒りを買いそうな第2節は省略されることが多いです。確かに私もここを訳してこうして発表することにはかなりの抵抗がありましたが、存在を隠蔽するのも不誠実と思いましたので覚悟を決めてアップすることとします。
Ein Wort, ein Mannというのは格言ですので、直訳である「ひとつの言葉が、ひとりの男に」ではなく日本で使われていそうな「男には二言なし」(もっともこういうマッチョさは日本でも忌避されていますので使われなくなっているかも知れませんが)と意訳させて頂きました。
私が訳したからでしょう。滑稽さを通り越してなんだか情けなささえ漂わせてしまうことになりましたが、音楽の方も屈託のない素朴なものなのでこんな感じの訳でもまあ良いかな、と自分を誤魔化しています。

( 2010.01.09 藤井宏行 )


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