Recollection XXVIa no.26 6 Canzonettas |
回想 6つのオリジナル・カンツォネッタ 第1集 |
The season comes when first we met, But you return no more. Why cannot I the days forget, Which time can ne'er restore? O days too fair,too bright to last, Are you indeed forever past? The fleeting shadows of delight In memory I trace; In fancy stop their rapid flight And all the past replace. But ah! I wake to endless woes, And tears the fading visions close. |
初めて私たちが出会った季節がまたやってくる、 けれどあなたはもう戻ってこない。 どうして私はあの日々を忘れられないの、 時は決して返してくれないというのに? おお、ずっと続くにはあまりに美しくあまりに輝かしかった日々よ、 お前たちは永遠に過ぎ去ってしまったの? 束の間の喜びの影を 記憶の中に 私はたどる 空想の中では その素早い飛翔は止まり、 すべての過去は甦る けれど ああ!私は無限の苦悩に目覚め、 涙が色あせていくその空想を閉ざしてしまうのです |
12のクラヴィア伴奏歌曲集の第2集(1784)の10年後、ハイドン円熟期の歌曲作品は英語で書かれたものでした。ハイドンはロンドンにも頻繁に滞在し、イギリスでも大活躍していたのは周知の通りですが、そのロンドンで外科医ジョン・ハンターの妻アン・ハンターと知りあい、彼女の詩に曲をつけることとし、6曲からなる歌曲集を書いたのです。いずれも充実した書法で彼の歌曲の代表作とみなされ、ドイツ語歌曲の録音がほとんどないのに比べるとこちらはかなり多くの録音を耳にすることができます。
第2曲はゆったりとなくした幸せな日々を回顧する歌。オペラのアリアのように美しく響きます。
( 2010.01.02 藤井宏行 )