Blick von Obern Belvedere Op.88-2 TrV 281,AV 130 Drei Gesänge |
ベルヴェデーレ宮殿よりの眺め 3つの歌 |
Fülle du! Gezier und schöner Geist, Übersetzt in edelstes Gebreite: Rechts die Kuppel,links die Kuppel weist Majestätisch ein dies Bild der Weite. Ach,wie hatten jene Zeiten Kraft, Rohes und Wildes in die Kunst zu heben! Irdischer Gesetzlichkeit entrafft, Engten sie und weiteten das Leben. Gehn nicht die Terrassen ab und an Reifrockdamen sanft hofiert Von eindruckssicher steifen Kavalieren. Nein,die Gärten zaubern holden Wahn. Ganz verging dies Planen,Lächeln,Lieben, Gilb und weh nur Schönheit ist geblieben. |
満ち溢れしものよ!気取りと美の精神とが この高貴な空間へと写し取られて 右手のドーム、左手のドームともども有している おごそかな広がりの姿を ああ、あの時代は何という力を持っていたのだ 粗削りなものや野蛮なものを洗練へと高める力を 地上の法則など放り出し それを狭めることで、生命力を増したのだ 行き来しているのが見えないか テラスのところを上へ下へと 張り骨スカートの貴婦人たちが穏やかにエスコートされて 好青年の立派な騎士たちに いや、この庭園が魔法のように生み出しているのだ この愛らしい幻想を すべては消えうせてしまったのだ 目論見も、微笑みも、愛も 黄ばんで痛々しげだ だが美だけは残されている |
1942年というドイツにとっては風雲急を告げる戦争の時代の作品です。ドイツの伝統美を讃えるかのような美しいソネット、ただし詩はウィーン生まれのオーストリアの詩人ヴァインヘーバーJosef Weinheber (1892 - 1945)、またここで描き出されているベルヴェデーレ宮殿というのもウィーンの観光名所にもなっているところです。
シュトラウス晩年の作らしく簡潔な美しさに満ちています。グルヴェローヴァが歌った録音が手に入りやすいでしょうか。
( 2011.10.01 藤井宏行 )