Mein Wagen rollet langsam Op.69-4 TrV 237 Fünf kleine Lieder |
森を行く 5つの小さな歌曲 |
Mein Wagen rollet langsam Durch lustiges Waldesgrün, Durch blumige Taler,die zaubrisch Im Sonnenglanze blühn. Ich sitze und sinne und träume, Und denk' an die Liebste mein; Da grüßen drei Schattengestalten Kopfnickend zum Wagen herein. Sie hüpfen und schneiden Gesichter, So spöttisch und doch so scheu, Und quirlen wie Nebel zusammen, Und kichern und huschen vorbei. |
ぼくの馬車はゆっくりと転がってゆく 喜ばしげな森の緑を抜けて 花咲く谷間を抜けて、そこは魔法のように 太陽の光が花開いている ぼくは座ってぼんやりして夢みてる そして考える、ぼくの恋人のことを そこに挨拶してきたのは三つの影 馬車の方にお辞儀をしてる 彼らは飛び跳ねながら顔をしかめる あざ笑ってでもいるように でもとても恥ずかしそうに そして霧が寄せ集まるようにぐるぐると回って そしてクスクス笑いながら遠くへ飛び去っるのだ |
この詩はシューマンが曲をつけた、歌曲集「詩人の恋」に含まれそこねた歌曲が比較的良く知られているかと思います。前半の抒情的なゆったりした調べが、不思議な三人組が現れてから音楽もまた奇怪な雰囲気に変わり、いつの間にか幻想の世界へと迷い込んでいく、メンデルスゾーンが得意だったこういう情景描写を、シュトラウスが更に現代風の味付けで聴きごたえあるものにしています。シューマンの曲がロマンティックなら、もはやこれはモダンホラーといった趣ですが、これもまた一興でしょうか。
( 2009.12.19 藤井宏行 )