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Anzoleta avanti la regata    
  La regata veneziana
競艇前のアンゾレータ  
     ヴェネチアの競艇 〜老いの過ち第1巻

詩: ピアーヴェ (Francesco Maria Piave,1810-1876) イタリア
      

曲: ロッシーニ (Gioachino Rossini,1792-1868) イタリア   歌詞言語: イタリア語


Là su la machina xe la bandiera,
varda,la vedistu,vala a ciapar.
Co quela tornime in qua sta sera,
o pur a sconderte ti pol andar.

In pope,Momolo,no te incantar.

Va,voga d'anema la gondoleta,
né el primo premio te pol mancar.
Va là,recordite la to Anzoleta
che da sto pergolo te sta a vardar.

In pope,Momolo,no te incantar.
In pope,Momolo,cori a svolar.

ほらあそこ 台の上に旗があるでしょ
見て、見えるわよね、あれを目指すのよ
それをここに持って帰ってきてね 夕方には
だめだったらどっかで隠れてなさい

船に乗ったら、モモロ、ボケっとしてちゃだめ

さあ、漕ぐのよ思い切り ゴンドラを
でなきゃ一等を取り損ねちゃう
さあ行って、アンゾレータのことを忘れないで
このバルコニーのところからあなたを見てるんだから

船に乗ったら、モモロ、ボケっとしてちゃだめ
船に乗ったら、モモロ、飛ぶように走るのよ


ロッシーニはその晩年、オペラを書くのはぷっつりとやめてしまいましたが、ピアノ曲や歌曲・室内楽などの小品をたくさん書き残しました。それらを自らまとめたものが全部で小品151曲からなる「老いの過ち」です。その最初の巻には「イタリアの歌」というタイトルがつけられ、12の声楽作品が集められています。中でも一番良く知られているのはこれら3曲からなる「ヴェネチアの競艇」でしょうか。愛するモモロが町のゴンドラのレースに出るのを、レース前・最中・後と3つのタイミングで、アンゾレータという女性の視点から歌にしている3部作です。ヴェネツィアの方言で書かれているということもあり、うまく訳すのは非常に厳しいのですが、雰囲気で言葉を選びつつ仕上げてみました。たぶん何か所かは確実に誤りがあるかと思いますがご容赦を。
さて、第一曲目はレース前のワンシーン。ユーモラスにリズムを刻むピアノ伴奏とは対照的に、声は重たくプレッシャーをかける感じで歌われるコントラストが不思議です。台と訳しましたmachinaですが、より正しくいうと表彰の台でしょうか。Emily Ezstのリートのページにあった解説によれば「レースのゴール地点にある木の台で、バロック風の彫像が飾られ、ヴェネチアの偉い人たちが座り、そして賞がここで与えられる場所」なのだそうです。

( 2009.11.14 藤井宏行 )


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