Anzoleta avanti la regata La regata veneziana |
競艇前のアンゾレータ ヴェネチアの競艇 〜老いの過ち第1巻 |
Là su la machina xe la bandiera, varda,la vedistu,vala a ciapar. Co quela tornime in qua sta sera, o pur a sconderte ti pol andar. In pope,Momolo,no te incantar. Va,voga d'anema la gondoleta, né el primo premio te pol mancar. Va là,recordite la to Anzoleta che da sto pergolo te sta a vardar. In pope,Momolo,no te incantar. In pope,Momolo,cori a svolar. |
ほらあそこ 台の上に旗があるでしょ 見て、見えるわよね、あれを目指すのよ それをここに持って帰ってきてね 夕方には だめだったらどっかで隠れてなさい 船に乗ったら、モモロ、ボケっとしてちゃだめ さあ、漕ぐのよ思い切り ゴンドラを でなきゃ一等を取り損ねちゃう さあ行って、アンゾレータのことを忘れないで このバルコニーのところからあなたを見てるんだから 船に乗ったら、モモロ、ボケっとしてちゃだめ 船に乗ったら、モモロ、飛ぶように走るのよ |
ロッシーニはその晩年、オペラを書くのはぷっつりとやめてしまいましたが、ピアノ曲や歌曲・室内楽などの小品をたくさん書き残しました。それらを自らまとめたものが全部で小品151曲からなる「老いの過ち」です。その最初の巻には「イタリアの歌」というタイトルがつけられ、12の声楽作品が集められています。中でも一番良く知られているのはこれら3曲からなる「ヴェネチアの競艇」でしょうか。愛するモモロが町のゴンドラのレースに出るのを、レース前・最中・後と3つのタイミングで、アンゾレータという女性の視点から歌にしている3部作です。ヴェネツィアの方言で書かれているということもあり、うまく訳すのは非常に厳しいのですが、雰囲気で言葉を選びつつ仕上げてみました。たぶん何か所かは確実に誤りがあるかと思いますがご容赦を。
さて、第一曲目はレース前のワンシーン。ユーモラスにリズムを刻むピアノ伴奏とは対照的に、声は重たくプレッシャーをかける感じで歌われるコントラストが不思議です。台と訳しましたmachinaですが、より正しくいうと表彰の台でしょうか。Emily Ezstのリートのページにあった解説によれば「レースのゴール地点にある木の台で、バロック風の彫像が飾られ、ヴェネチアの偉い人たちが座り、そして賞がここで与えられる場所」なのだそうです。
( 2009.11.14 藤井宏行 )