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Le lilas   L 22  
 
リラの花  
    

詩: テオドール・ド・バンヴィル (Théodore Faullain de Banville,1823-1891) フランス
    Les cariatides - Les Caprices - en dizains à la manière de Clément Marot 17 Le lilas

曲: ドビュッシー (Claude Achille Debussy,1862-1918) フランス   歌詞言語: フランス語


Ô floraison divine du Lilas,
Je te bénis,pour si peu que tu dures!
Nos pauvres coeurs de souffrir étaient las.
Enfin l'oubli guérit nos peines dures
Enivrez-nous,fleurs,horizons,verdures!
Le clair réveil du matin gracieux;
Charme l'azur irradié des cieux;
Mai fleurissant cache les blanches tombes,
Tout éclairé de feux délicieux,
Et l'air frémit,blanc des vols de colombes.

おお 神々しく咲くお前 リラの花よ
私はお前を讃えよう、ほんのわずかな間しかお前は咲かないのだから!
ぼくたちの哀れな心は苦しむことに疲れ果てていたが
ようやく忘れることでこのひどい悲しみは癒されるのだから
ぼくたちを酔わせてくれ、花たちよ、地平線よ、緑よ!
優美な朝の爽やかな目覚めが
空の照り映えた青さを魅了している
花いっぱいの五月は白い墓石たちを隠し
すべては甘美な炎に照らされ
そして大気は震える、ハトたちの飛翔の白さに


これもドビュッシーの作品としては比較的最近発見されたものでしょうか。録音されているのも最近になってからのものに限られます。
音楽はこの歌詞からも想像できるように、陶酔的な美しさに浸りこんでいる初期ドビュッシー歌曲に典型的なスタイル。ただあまりに典型的過ぎて、これといった印象が強く残らないのが問題でしょうか。ひたすら美しい曲ではあるのですが。
バンヴィルの詩は視覚的な描写が見事ですね。リラの花で一面真っ白に染まっている爽やかな春の朝の様子が目に浮かんでくるようです。「ぼくたち」とあるのは恋人同士でしょうか。春を明るく彩ってくれているリラの花に感謝の言葉を投げかけています。

最近リリースされたCDで、ハーピストのグザヴィエ・ドゥ・メストレがドビュッシーのピアノ曲や初期歌曲をハープに編曲したものを弾くという面白い企画に、ディアナ・ダムラウの歌でこの曲も収録されていました。
他には「星の輝く夜」「麦の花」「月の光(初期の方の作品)」「マンドリン」「美しい夕暮れ」「現れ」と、なかなか考え抜かれたラインナップ。ハープの透明な響きに見事に映える作品ばかりです。

( 2009.09.03 藤井宏行 )


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