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Nayvyshche shchastya!   Op.37-2  
 
至上の喜び  
    

詩: ソシュラ (Volodimir Sosiura,1898-1965) ウクライナ
      

曲: リャトシンスキー (Boris Lyatoshinsky,1895-1968) ウクライナ   歌詞言語: ウクライナ語


Koly dodumu ja pridu v godynu radisnu,pobidnu,
Ja na kolina upadu i potsiluju zemlju ridnu.

Dnepro,i Lavra,I mosty,vesely gomin dzvin tramvayu,
po bruku ridnomu idti,Ja schastja vyshchogo ne znaju!

Snegu... i tuga... i blakyt’; Kak slezy padajut’ godyny;
I u lytse moe shumyt’,Rydae veter z Ukrainy,

Koly dodomu ja pridu v godynu radisnu,pobidnu,
Ja na kolina upadu i potsiluju zemlju ridnu.

勝利と共に祖国に帰還した時は
ふるさとの大地にくちづけしよう。

なつかしい町並みをそぞろあるく
これほどの喜びが他にあろうか

冷たい雪嵐は祖国ウクライナの方から吹きつけ
私は今、涙にくれているのだが...

勝利と共に祖国に帰還した時は
ふるさとの大地にくちづけしよう。


旧ソ連の崩壊と共に、ロシア周辺のいろいろな国とロシアとの確執が表に現れてきました。ウクライナとロシアとの対立は、それ以前にもフレデリック・フォーサイスの小説「悪魔の選択」などでも生々しいところです。このウクライナの「超」愛国的作曲家 ボリス・リャトシンスキーは、スターリン時代には演奏禁止の交響曲第3番など、非常に熱い作品(ショスタコービッチの作品から諧謔味を取って100℃くらい温度を上昇させて怒りまくっている感じの曲)を次々と残してくれました。そんな彼の歌曲もまた辟易するほど暑苦しい愛国心の吐露に満ち溢れています。
ひとつにはこれが1942年の作品で、あの第二次世界大戦の戦場になった故国を歌っていることから来ているのでしょうか。最初の叩き付けるようなショパンの革命の練習曲を思わせるピアノの強打がしばし続いたあと、愛国心の吐露を淡々と語る朗唱の部分が始まり、そして故郷を思い出すところではセンチメンタルな民謡調のメロディ、そしてまた革命のエチュードが盛上がってきて、再び祖国への思いが歌われますが、祈るように消え入って終わります。独ソ戦の戦場になったウクライナの苦しみ・悲しみを訴えかける佳曲だと思います。
ウクライナ出身のバス・バリトン、サヴェンコが「Russian Images」という題で収録したアルバム(Hyperion)の中でひときわ熱いオーラを放っており、一度お聞きになられることをお勧めします。このアルバム、なかなか良いロシア歌曲のアンソロジーですし...

( 2000.02.07 藤井宏行 )


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