Gegenliebe XXVIa no.16 12 Lieder für das Clavier |
愛の返礼 12のクラヴィア伴奏歌曲第2集 |
Wüßt' ich,wüßt' ich,daß du mich Lieb und wert ein bißchen hieltest, Und von dem,was ich für dich, Nur ein Hundertteilchen fühltest; Daß dein Danken meinem Gruß' Halben Wegs entgegen käme, Und dein Mund den Wechselkuß Gerne gäb' und wiedernähme: Dann,o Himmel,außer sich, Würde ganz mein Herz zerlodern! Leib und Leben könnt' ich dich Nicht vergebens lassen fodern! -- Gegengunst erhöhet Gunst, Liebe nähret Gegenliebe, Und entflammt zu Feuersbrunst, Was ein Aschenfünkchen bliebe. |
私が知っていたなら、あなたが私を 愛し ほんのわずかでも想ってくださる価値があるのなら そしてそのことを 私があなたから ほんの百分の一でも感じることができたなら 私のあいさつへのあなたの感謝が 半分だけでも返ってくれば そしてあなたのくちびるがキスの交換を 喜んで与え また受け取ってくれるのならば そうしたら、おお天国よ、我を忘れて 私のハートは燃え尽きてしまうことでしょう! この体も 命も私はあなたに 空しく求めさせるようなことはできないでしょう 好意は好意によって高められ 愛は愛によって育まれるのです そして爆発するまで燃え上がることでしょう 灰の中に燃え残っていた火の粉でも |
この曲はのちに交響曲第73番「狩」の第2楽章アンダンテの第1主題に転用されました。「驚愕」交響曲第94番のアンダンテを連想させる穏やかなメロディがこれも印象的です。この詩はしかし、むしろベートーヴェンが取り上げて歌曲としているものとの比較が興味深いところです。ベートーヴェンは後の「歓喜の歌」のメロディのもとになった合唱幻想曲の主題と全く同じメロディでこの歌曲を書いていますので、同じ詩でありながら音楽から受ける印象が全然異なるのです。
( 2009.11.15 藤井宏行 )