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Entflieht auf leichten Kähnen   Op.2  
 
軽やかな小舟に乗って逃げ出せ  
    

詩: ゲオルゲ (Stefan Anton George,1868-1933) ドイツ
    Das Jahr der Seele - Traurige Tänze 19 Entflieht auf leichten Kähnen

曲: ウェーベルン (Anton Webern,1883-1945) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Entflieht auf leichten Kähnen
berauschten Sonnenwelten
daß immer mildre Tränen
euch eure Flucht entgelten.

Seht diesen Taumel blonder
lichtblauer Traumgewalten
und trunkner Wonnen sonder
Verzückung sich entfalten.

Daß nicht der süße Schauer
in neues Leid euch hülle -
es sei die stille Trauer
die diesen Frühling fülle.

軽やかな小舟に乗って逃げ出せ
この酔いつぶれた太陽の世界から
ずっと穏やかな涙が
お前の逃走に報いてくれる

このブロンドの眩暈を見よ
光青き夢の力と
酔っ払いの至福の
エクスタシーが広がってゆく

それは決して優しいにわか雨ではない
新たな悲しみにお前は包まれる
それは静かな悲嘆であれ
この春に満たされて


ウェーベルンの最初期の作品には、シュテファン・ゲオルゲの詩にメロディをつけたものが集中しておりますが、これはそのうちで一番最初のもの(詩集「魂の一年」より)。すぐあとの2つの作品と違って無伴奏の混声合唱曲です。まだ彼が無調になるぎりぎり前のところですが、独特の浮遊感を漂わせるあたりはこれから彼が進んでいく道の鮮烈さを予感させてなかなかに面白いところ。音楽的には二重カノンということで、2つの旋律が模倣されてゆくところなど、彼の研ぎ澄まされた音の響きが鮮烈でゾクゾクします。ブーレーズがJ.オールディス合唱団を指揮したソニーのウェーベルン全集にあるものがその点ではベストの鮮烈さですが(彼の新録音は私はまだ聴いておりません)、ゆったりとしてもっとロマンティックなケルン放送合唱団のもの(DHM)も捨てがたい魅力です。先日亡くなった日本を代表する指揮者・若杉弘の指揮というのもこの音盤のポイントです。

( 2009.10.03 藤井宏行 )


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