Altdeutsches Frühlingslied Op.86-6 6 Gesänge |
古いドイツの春の歌 6つの歌 |
Der trübe Winter ist vorbei, Die Schwalben wiederkehren; Nun regt sich alles wieder neu; Die Quellen sich vermehren. Laub allgemach nun schleicht an Tag, Die Blümlein nun sich melden; Wie Schlänglein krumm gehn lächelnd um Die Bächlein kühl in Wälden. Wo man nur schaut,fast alle Welt Zur Freuden sich tut rüsten; Zum Scherzen alles ist gestellt, Schwebt alles fast in Lüsten. Nur ich allein,ich leide Pein, Ohn' Ende werd ich leiden: Seit du von mir und ich von dir, O Liebste,mußte scheiden. |
陰鬱なる冬は終わり ツバメたちは戻り来たり 万物は新たに胎動を始め 泉は湧き上がる 木の葉は日毎にゆっくりと現れ出で 花たちも今や咲く兆しを示す 微笑みながら蛇行して流れゆく 涼しげな小川は森の中を 見渡す限り、この世のほとんどすべて 喜びを身にまとい 戯れ合いをみな為したり ほとんどあらゆるものに喜びが漂っている われのみが、痛みに苦しむ 終わることなく苦しむ われより御身が 御身よりわれが おお恋人よ、:別れてしまってより |
古いドイツの歌とありますので、怪しげな古文の知識を悪用してそれっぽく訳してみましたが、ピアノ伴奏のアルペジオも含め、メンデルスゾーンの歌曲の中でも指折りのロマンティックな歌になりました。後半歌詞の方は暗転しますが、音楽は全く同じような雰囲気で繰り返され、穏やかな春に浸っているように静かに終わります。あんまり悲嘆の感情を露骨に表さないのが「古典的」なのでしょうか。
歌詞はもともとが17世紀のFriedrich Spee von Langenfeld (1591-1635) の手になるとされていますが、詩人の詳細についてはよくわかりませんでした。
( 2009.11.03 藤井宏行 )