Nell'orror di notte oscura 6 romanze |
暗い夜の恐ろしさの中 6つのロマンツェ(1838) |
Nell'orror di notte oscura, Quando tace il mondo intier, Del mio bene in fra le mura Vola sempre il mio pensier. E colei che tanto adoro Forse ad altri il cor donò; Ciel,per me non v'ha ristoro, Io d'ambascia morirò. Quando in terra il giorno imbruna Il mio spirto apparirà Ed il raggio della luna Fosco fosco si vedrà. D'un amante moribondo, D'un tradito adorator, Udirà l'intero mondo Il lamento del dolor. E d'amore nella storia Sarà scritto ognor così: Maledetta la memoria Di colei che lo tradì! |
暗い夜の恐ろしさの中 世のすべては静まり返っている 壁に囲まれた中にいる愛する人のもとへと わが想いはいつも飛んでゆく 彼女は私がとても愛しているというのに 他の誰かに心を捧げている 天は、私のために何の慰めも下さらない 私は苦しみのあまり死ぬのだ この地上で昼間が暗くなるときに わが魂は現れ出でるのだ そして月の光が ぼんやり、ぼんやりと見えるだろう 死にゆく恋人の姿が 裏切られた崇拝者の姿が 世界中で聞こえるだろう 苦しみの嘆きの声が そしてこの愛の物語の中では いつもこのように書かれ続けるだろう 呪われた思い出 恋人を裏切った女の |
なかなかに凄い歌詞です。イタリア人は恋する情熱も激しいだけに、振られたときの取り乱し方も(人によっては)ただでは済まないといったところでしょうか。「死んで化けて出てやる〜」なんていうセリフをイタリアの歌で聴くことになるとはよもや思いませんでした。特に凄いのは最後のスタンザ「呪われた思い出」の部分を繰り返し繰り返し歌い続けながら曲を盛り上げていくところ。そこまで暗かったメロディがぱっと明るくなるのも不思議ですし、その結果としてなぜか聴き手もカタルシスを得られてしまうというのがなんとも言えないミスマッチ感。ヴェルディお得意の見事な盛り上げが素敵です。
( 2009.09.09 藤井宏行 )