Aimos nous et dormons L 16 |
愛し合い、そして眠ろう |
Aimons-nous et dormons Sans songer au reste du monde! Ni le flot de la mer,ni l'ouragan des monts Tant que nous nous aimons Ne courbera ta tête blonde, Car l'amour est plus fort Que les Dieux et la Mort! Le soleil s'éteindrait Pour laisser ta blancheur plus pure, Le vent qui jusqu'à terre incline la forêt, En passant n'oserait Jouer avec ta chevelure, Tant que tu cacheras Ta tête entre mes bras! Et lorsque nos deux coeurs S'en iront aux sphères heureuses Où les célestes lys écloront sous nos pleurs, Alors,comme deux fleurs, Joignons nos lèvres amoureuses, Et tâchons d'épuiser La mort dans un baiser! |
ぼくらは愛し合おう、そして眠ろう 世の中のことなど皆忘れて! 海の波も、山の嵐も ぼくらが愛し合っている限り きみのブロンドの頭を掠めもしない なぜなら愛は強いんだ 神々や死なんかよりもずっと! 太陽も燃え尽きるんだ きみの肌を白いままにしておくために 大地に吹き森を揺する風も 通り過ぎるとき決してしないんだ きみの髪に戯れるようなことは きみが休ませている間は ぼくの腕の中に、きみの頭を そしてぼくたち二人のハートが あの幸せの世界へと昇っていく時 天上のユリがぼくらの涙で花咲く世界へと さあ、ふたつの花のように ぼくたちの愛のくちびるを合わせるんだ そして頑張って消し去るんだ 死をこのくちづけの中へと! |
初期のドビュッシーがたくさん曲をつけた詩人といえば、圧倒的にこのテオドール・ド・バンヴィルかポール・ブルジェの2人でしょう。そしてブルジェの詩につけた歌曲が内省的で幻想味あふれるものに対し、このバンヴィルにつけた曲は色彩感あふれてダイナミック、という傾向にあるように思えます。その中でもこの曲はなんといいますか直情的であまりにストレートな恋歌。ビゼーの「四月」やフォーレの「ネル」のように熱い音楽にはしておりませんが、それでも中間部のピアノの高らかな間奏などもあってなかなかに印象的なラブソングになっています。この詩にはサン・サーンスなどもメロディを付けており、けっこう人気の詩であったのでしょうけれども、ドビュッシーの選択にしてはちょっと異色な感じがします。この詩が臆面もなく歌っているようには音楽が無我夢中になっていないと言いましょうか。まあそれがドビュッシーらしいところでもあるのですが。
( 2009.09.06 藤井宏行 )