In solitaria stanza 6 romanze |
ひとりぼっちの部屋の中で 6つのロマンツェ(1838) |
In solitaria stanza Langue per doglia atroce; Il labbro è senza voce, Senza respiro il sen, Come in deserta aiuola, Che di rugiade è priva, Sotto alla vampa estiva Molle narciso svien. Io,dall’affanno oppresso, Corro per vie rimote E grido in suon che puote Le rupi intenerir Salvate,o Dei pietosi, Quella beltà celeste; Voi forse non sapreste Un’altra Irene ordir. |
ひとりぼっちの部屋の中で 彼女は激しい痛みに苦しんでいる 唇からは声なく 呼吸をしていない胸 空っぽの花壇のように 露が奪われている この夏の暑さのもとで 春の水仙は色褪せた 私は、心配に駆られて はるかな小道を駆け抜ける そして叫ぶのだ その音は 岩をも溶かさんばかりに響く 救いたまえ、慈悲ある神よ この天上の美人を 恐らく御身はご存じないのだ もう一人のイレーネを創造することなど |
まだオペラ作曲家として世に出ていないヴェルディ1838年の作品ですが、すでに天性のドラマティストとしての資質をこの歌曲集の1曲1曲から感じます。この歌は重い病に死に行くひとりの乙女と、彼女に恋し、いまこそ駆けつけようとする若者との対比が巧妙です。歌曲集の中ではそれほど取り上げる頻度は高くないですが味わい深い歌曲だと思います。
( 2009.09.03 藤井宏行 )