Musique L 44 |
音楽 |
La lune se levait,pure,mais plus glacée Que le ressouvenir de quelqu'amour passée, Les étoiles,au fond du ciel silencieux, Brillaient,mais d'un éclat changeant,comme des yeux Où flotte une pensée insaisissable à l'âme. Et le violon,tendre et doux,comme une femme Dont la voix s'affaiblit dans l'ardente langueur, Chantait: “ Encore un soir perdu pour le bonheur.” |
月は昇ってゆく、澄み渡り、しかしひときわ冷たく まるで過ぎ去った恋の思い出のように 星たちは、黙した空に向かい きらめく、だがうつろいゆく輝きだ、まるであの瞳のように 魂がはかり知れない想いを映し出しているところ ヴァイオリンは、穏やかに優しく響く、まるで女性が 燃え上がる苦悩の中 弱々しい声で 歌うように:「幸せのために失われた夜よ もう一度」と |
ブルジェの幻想的な詩に透明感あふれる(聴き方によっては濃密なロマンも感じられますが)ドビュッシーのメロディがついた初期の作品です。伴奏ピアノの分散和音が澄み渡った星の夜を見事に描写しています。これもソプラノ歌手でもあったヴァニエ夫人に捧げられた曲。高音のきらめきが見事です。最後の台詞は余韻を残して静かに終わります。
( 2009.08.31 藤井宏行 )