Ja s neju nikogda ne govoril Op.25-5 6 Romansov |
ぼくは彼女に一言も話しかけなかった 6つのロマンス |
Ja s neju nikogda ne govoril, No ja iskal povsjudu s neju vstrechi, Bledneja i drozha,za nej sledil. Ee dvizhen’ja,vzgljad,ulybku,rechi Ja zhadno,ja vnimatel’no lovil, A posle,ja ubegal ot vsekh daleche, Ee v mechtakh sebe ja predstavljal, Grustil,vzdykhal,tomilsja,i revnoval! Ne rasskazat’ chto delalos’ so mnoju. Ne opisat’ volshebnoj krasoty ne [opisat’!]1 S vesennim solntsem,s rozovoj zareju, S slezoj nebes,upavshej na tsvety. S luchem luny,s vecherneju zvezdoju V moikh mechtakh slilis’ ee cherty... Ja pomnju tol’ko svetloe viden’e, Moj ideal,otradu i muchen’e! |
ぼくは彼女に一言も話しかけなかった なのにあらゆる場所で彼女に出会えないかと探していた 蒼ざめそして震えながら、彼女を見つめていた 彼女のしぐさを、眼差しを、微笑を、話し声を 貪欲に、そして注意深く記憶したのだ そしてすぐにそこを逃げ去り ぼくは彼女を夢の中で想像して 悲しみ、溜息をつき、苦悩しそして嫉妬したのだ! 言わないでくれ ぼくがどうしてしまったかなんて 語らないでくれ 魅惑的な美しさなんて 春の太陽と一緒に、バラ色の夜明けと一緒に 天の涙が花の上に落ちるのと一緒に 月の光と一緒に、宵の星と一緒に 夢の中で彼女は現れたのだ ぼくはただその輝かしいイメージだけを記憶している ぼくの理想、喜びそして苦しみよ! |
元々の詩は30連くらいある長いものだったようで、タイトルはこの詩型からくる「八行詩」でした。チャイコフスキーはそこから2連だけを取り出して歌曲にしています。原詩は参照できておりませんが、こんな内容が30連ももし続いていたとしたら内気なストーカーの姿を見るようで悲しくなってしまいそうです。ところがここにチャイコフスキーがつけたメロディは決然とした力強いもの。決して暗くなることのない憧れに満ちた美しいメロディもあいまって大変に魅力的なものになりました。ストーカーのいじいじした悩みというよりは、ストーカーされている(のかどうかはわかりませんが)側の素晴らしさを描き出している音楽。ちょっと不思議な味わいのあるラブソングです。
( 2009.08.28 藤井宏行 )