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Pojmi khot’ raz   Op.16-3  
  6 Romansov
少しでも分かってください  
     6つのロマンス

詩: フェート (Afanasij Afanas’evich Fet,1820-1892) ロシア
      Anruf an die geliebte Бетховена(1857)

曲: チャイコフスキー (Pyotr Ilyich Tchaikovsky,1840-1893) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Pojmi khot’ raz tosklivoe priznan’e,
khot’ raz uslysh’ dushi moljashchej ston!
Ja pred toboj,prekrasnoe sozdan’e,
bezvestnykh sil dykhan’em okrylen.

Ja obraz tvoj lovlju pered razlukoj,
ja polon im,nemeju i drozhu,-
i bez tebja,tomjas’ predsmertnoj mukoj,
svoej toskoj,kak schast’em,dorozhu.

Poju ee,vo prakh upast’ gotovyj,
ty predo mnoj stoish’,kak bozhestvo.
I ja blazhen: ja v kazhdoj muke novoj
tvoej krasy predvizhu torzhestvo.

少しでも分かってください このつらい告白を
一度だけでも聞いてください この魂の祈りにみちた苦悩を!
私はあなたの前へ、完全無欠の人よ
不思議な力で導かれてきたのです

私はあなたの姿を記憶に留めたいのです お別れの前に
私はそれに満たされて、言葉もなくふるえます
そしてあなたなしで、死の苦しみを味わうのです
そんな苦しみも私は幸運と考えましょう

その苦しみを歌いましょう、塵となって消え去る前に
あなたは私の前に 神々しく立っています
そして私は祝福されるのです、ひとつひとつの苦しみ毎に
あなたの美しさが最後には勝つのですから


作品16は改めてまとめて聴いてみるとどれも美しいメロディに満ち溢れていることが分かります。この曲も恋が終わりを迎えるときの心のざわめきを見事に描写していて印象的。この詩はフェートが書いたときには、 遥かな恋人に (ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン)をイメージして書いたというエピソードがあるとのことですが、こちらのセンチメンタルな情緒はあまり感じられなくて、ひたすら別れの修羅場に臨んでいるという雰囲気ですね。初期の中島みゆきの歌のようです。

( 2009.08.01 藤井宏行 )


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