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Old Dog Tray    
 
老犬トレイ  
    

詩: フォスター (Stephen Collins Foster,1826-1864) アメリカ
      

曲: フォスター (Stephen Collins Foster,1826-1864) アメリカ   歌詞言語: 英語


The morn of life is past,
And evening comes at last;
It brings me a dream of a once happy day,
Of merry forms I've seen
Upon the village green,
Sporting with my old dog Tray.

(Chorus)
Old dog Tray's ever faithful,
Grief cannot drive him away,
He's gentle,he is kind;
I'll never,never find
A better friend than old dog Tray.


The forms I call'd my own
Have vanished one by one,
The lov'd ones,the dear ones have all passed away,
Their happy smiles have flown,
Their gentle voices gone;
I've nothing left but old dog Tray.

(Chorus)
Old dog Tray's ever faithful,
Grief cannot drive him away,
He's gentle,he is kind;
I'll never,never find
A better friend than old dog Tray.


When thoughts recall the past
His eyes are on me cast;
I know that he feels what my breaking heart would say:
Although he cannot speak
I'll vainly,vainly seek
A better friend than old dog Tray.

(Chorus)
Old dog Tray's ever faithful,
Grief cannot drive him away,
He's gentle,he is kind;
I'll never,never find
A better friend than old dog Tray.

人生の朝は過ぎ去り
夕暮れがついにやってきた
それは私に幸せだった頃の思い出を呼び覚ます
私の出会ってきた陽気な人々の思い出を
村の緑の上
駆け回りながら見てきた 私の老犬トレイと一緒に

(合唱)
老犬トレイはずっと忠実だ
悲しみも彼を決して追い立てたりはしない
いつでも穏やか、いつでも親切
私は決して 決して見つけることはないだろう
素晴らしい友を この老犬トレイ以上の


私が仲間と呼んでいた人々は
ひとり またひとりと消えて行き
愛した人たちも、親しい人たちも皆世を去った
彼らの幸せそうな笑顔は飛び去り
彼らの穏やかな声は消えた
私には何も残っていない この老犬トレイの他には

(合唱)
老犬トレイはずっと忠実だ
悲しみも彼を決して追い立てたりはしない
いつでも穏やか、いつでも親切
私は決して 決して見つけることはないだろう
素晴らしい友を この老犬トレイ以上の


思いが過去を呼び起こすとき
彼の目は私へと向けられる
私にはわかるのだ 彼が感じているのが この傷ついた心が何を言っているかを
たとえ彼は話せなくても
私は空しく、空しく探しているのだろう
すばらしい友を この老犬トレイ以上の

(合唱)
老犬トレイはずっと忠実だ
悲しみも彼を決して追い立てたりはしない
いつでも穏やか、いつでも親切
私は決して 決して見つけることはないだろう
素晴らしい友を この老犬トレイ以上の


フォスターの代表作の中ではこの曲だけは私はあまり記憶になかったのと、いまひとつ訳がうまく行かなかったこともあり前回はお蔵入りにしておりました。その後いろいろ調べてみると、北方謙三のハードボイルド小説の中の主人公・高樹刑事の愛した曲という設定で登場していることもあり、けっこう隠れた人気を誇る曲だということが分かりましたので急遽訳を仕上げてみました。人間よりはずっと寿命の短い犬のこと、このように親しい人たちが皆世を去って老犬とただふたり残される、というシチュエーションはまずあり得ないところではありますが、愛犬家の描くファンタジーとしてはたいへんに美しいというのもまた詞を見ての感想です。そしてここに聴かれるメロディは郷愁に満ちた詞に輪をかけて美しい名旋律。フォスターのこの時期に集中しているしみじみ系の傑作群の中でも見逃せない曲です。1853年の作曲。

( 2009.06.01 藤井宏行 )


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