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Die Uhr   Op.123-3  
  Drei Gesänge
時計  
     3つの歌

詩: ザイドル (Johann Gabriel Seidl,1804-1875) オーストリア
      

曲: レーヴェ (Johann Carl Gottfried Loewe,1796-1869) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Ich trage,wo ich gehe,stets eine Uhr bei mir;
Wieviel es geschlagen habe,genau seh ich an ihr.
Es ist ein großer Meister,der künstlich ihr Werk gefügt,
Wenngleich ihr Gang nicht immer dem törichten Wunsche genügt.

Ich wollte,sie wäre rascher gegangen an manchem Tag;
Ich wollte,sie hätte manchmal verzögert den raschen Schlag.
In meinen Leiden und Freuden,in Sturm und in der Ruh,
Was immer geschah im Leben,sie pochte den Takt dazu.

Sie schlug am Sarge des Vaters,sie schlug an des Freundes Bahr,
Sie schlug am Morgen der Liebe,sie schlug am Traualtar.
Sie schlug an der Wiege des Kindes,sie schlägt,will's Gott,noch oft,
Wenn bessere Tage kommen,wie meine Seele es hofft.

Und ward sie auch einmal träger,und drohte zu stocken ihr Lauf,
So zog der Meister immer großmütig sie wieder auf.
Doch stände sie einmal stille,dann wär's um sie geschehn,
Kein andrer,als der sie fügte,bringt die Zerstörte zum Gehn.

Dann müßt ich zum Meister wandern,der wohnt am Ende wohl weit,
Wohl draußen,jenseits der Erde,wohl dort in der Ewigkeit!
Dann gäb ich sie ihm zurücke mit dankbar kindlichem Flehn:
Sieh,Herr,ich hab nichts verdorben,sie blieb von selber stehn.

わたしは持っていく、どこへ行くにも、いつも時計を
何回時を打ったのかで、私は時間がすぐわかる
ひとりの偉大な職人だ、この技術の粋を仕上げたのは
あいにくその進み具合はわたしの愚かな望みをいつも叶えてはくれないけれど

わたしは願った、あるときはもっと速く進んでくれたらと
わたしは願った、その速い時の刻みを何度も遅らせてほしいと
わたしの悲しみのときも喜びのときも、嵐のときも安らぎのときも
人生に何が起ころうと、時計は規則正しく時を脈打たせたのだ

時計は時を打った 父の柩のそばで、時を打った 友の柩のそばで
時計は時を打った 恋の夜明けに、時を打った 結婚式の祭壇のそばで
時計は時を打った 子供のゆりかごのそばで 時を打つだろう、神様のご意思で、さらに何度でも
よりよい日々の暮らしが訪れるなら、わたしの心が待ち望んでいるように

今までも何度か時計は遅くなり、危うく止まりそうになることもあった
そのときは時計職人がいつも気前よくねじを巻いてくれた
だがいつか静かに動かなくなったなら、それはいっつかは起こることだろうけれども
それを作った者のほかには誰も、言われているように、壊れた時計を動かせないのだ

そのとき私は時計職人のところに行かねばならぬ、はるか遠くの地の果てに住む彼に
この世の外側、地上を超えて、おそらく永遠の中にあるところへと!
それから時計をお返しするのだ 感謝をこめた無邪気なしぐさで
ご覧ください、主よ、わたしが壊したのではありません。ひとりでにこれは止まってしまったのです


レーヴェの歌曲作品のうちでは、比較的親しまれているもののひとつでしょうか。ここで時計と呼んでいるのは実は心臓の鼓動でしょう。そしてもちろんここでその時計を作り、そしてそれが止まりそうなときにはいつでもネジを巻いてくれる時計職人とは神様のことですね。シンプルな音楽で心臓の鼓動を表すかのように、6/8拍子に乗ってピアノがゆっくりと規則正しく音を刻んで行きますが、ゆったりと始まる歌声は詩の内容にあわせて高くなり、また低くなりとなかなか絶妙の変化をします。とくに第4節の後半2行、死を思うくだりでは、息をつめたような低音が緊張感を生み出しています。

( 2009.04.30 藤井宏行 )


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