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Frühlingslied   Op.71-2  
  6 Lieder
春の歌  
     6つの歌曲

詩: クリンゲマン (Karl Klingemann,1798-1862) ドイツ
      Frühlingslied 

曲: メンデルスゾーン (Jakob Ludwig Felix Mendelssohn,1809-1847) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Der Frühling naht mit Brausen,
Er rüstet sich zur Tat,
Und unter Sturm und Sausen
Keimt still die grüne Saat;

Drum wach,erwach,du Menschenkind,
Daß dich der Lenz nicht schlafend find'!

Tu ab die Wintersorgen,
Empfange frisch den Gast;
Er fliegt wie junger Morgen,
Er hält nicht lange Rast.

Die Knospe schwillt,
Die Blume blüht,
Die Stunde eilt,
Der Frühling flieht.

Drum wach,erwach,du Menschenkind,
Daß dich der Lenz nicht schlafend find'!

Dir armen Menschenkinde
Ist wund und weh ums Herz,
Auf,spreng getrost die Rinde,
Schau mutig frühlingswärts!

Es schmilzt das Eis,
Die Quelle rinnt,
Dir taut der Schmerz
Und löst sich lind.

Und wie die Vöglein leise
Anstimmen ihren Chor,
So schall auch deine Weise
Aus tiefster Brust hervor:

Bist nicht verarmt,bist nicht allein,
Umringt von Sang und Sonnenschein!

春が近づいて来た 激しい雨とともに
動き出そうと仕度をしてる
そして嵐やざわめきの下では
緑の種子が静かに芽吹く

だから目覚めよ、目覚めよ人の子よ
眠ったままのお前を 春が見つけたりしないように

冬の気苦労を放り出して
さわやかに客を迎えるのだ
春は飛ぶ 若い朝のように
春は長いこと休んだりはしない

つぼみが膨らみ
花が咲き出でる
時は急ぎゆき
春は逃げ去ってゆく

だから目覚めよ、目覚めよ人の子よ
眠ったままのお前を 春が見つけたりしないように

お前、哀れな人の子は
心が傷つき 痛んでいる
悠然と皮を打ち破り
勇気をもって春と向き合うのだ!

氷は溶け
泉は流れ出す
お前の痛みも解けて
穏やかに消えていく

そして静かな鳥たちのように
彼らのコーラスに声を合わせるのだ
お前の調べも響かせるがいい
お前の胸の奥底から

心貧しくなってはならぬ、ひとりぼっちになるな
歌と太陽の光に取り巻かれて!


メンデルスゾーンのあまたある「春の歌」の中ではこの曲が一番爆発的な喜びが印象的でしょうか。リフレインの「だから目覚めよ」の部分の狩の角笛の高らかな響きは何度聴いても惚れ惚れするような迫力です。詩の形は少々変則的ですが、言葉の繰り返しを効果的に使って1番と2番は同じ構成にしています。そして詩がしんみりとなる第3節だけは音楽も暗く沈み、ゆっくりとなりますが、また最後の「心貧しくなってはならぬ」のところでは前のリフレインで聴かれた角笛のメロディが戻ってきて決然と音楽を終えます。Op.75の中では比較的古く、1845年の作曲だそうです。

( 2009.04.01 藤井宏行 )


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