Frühlingslied Op.34-3 6 Gesänge |
春の歌 6つの歌 |
Es brechen im schallenden Reigen Die Frühlingsstimmen los, Sie können's nicht länger verschweigen, Die Wonne ist gar zu groß! Wohin,sie ahnen es selber kaum, Es rührt sie ein alter,ein süßer Traum! Die Knospen schwellen und glühen Und drängen sich an das Licht, Und warten in sehnendem Blühen, Daß liebende Hand sie bricht. Wohin,sie ahnen es selber kaum, Es rührt sie ein alter,ein süßer Traum! Und Frühlingsgeister,sie steigen Hinab in der Menschen Brust, Und regen da drinnen den Reigen Der ew'gen Jugendlust. Wohin,wir ahnen es selber kaum, Es rührt uns ein alter,ein süßer Traum! |
鳴り響く輪舞を打ち破り 春の声が放たれる 声はもうこれ以上黙ってはいられないのだ、 喜びがあまりにも大き過ぎるから! どこに向かうか、自分自身でもまるで分からない、 昔の、甘美な夢が突き動かすものだから! つぼみたちは膨らんで大きくなり 光に向かって自分たちを押し出して あこがれを花開かせながら待っている やさしい手が摘んでくれるときのことを どこに向かうか、自分自身でもまるで分からない、 昔の、甘美な夢が突き動かすものだから! そして春の精たち、彼らは降りてくる 人間たちの胸の中へと そしてその中で輪舞を踊る 永遠の若さの喜びの輪舞を どこに向かうか、自分自身でもまるで分からない、 昔の、甘美な夢が突き動かすものだから! |
メンデルスゾーンのたくさんある「春の歌」の中では、既にご紹介しているレーナウの詩によるOp.47-3がもっとも有名でよく取り上げられておりますが、この曲はその次くらいに良く取り上げられるでしょうか。野原に響き渡る角笛のような元気の良いピアノ伴奏に乗せて春の喜びがあふれ出して行きます。ただ歌詞の華やかさのわりに歌はしっとりと穏やかで、特にリフレインの「どこに向かうか、自分自身でもまるで分からない」の部分はまさに甘い夢を見るかのようにひそやかに閉じられます。その対比が実に鮮やか。作曲家の友人のクリンゲマンの詩によるメンデルスゾーンの歌曲はたくさんあり、同じ詩人による同じタイトル「春の歌」がもうひとつ(Op.71-2)あります。
( 2009.04.01 藤井宏行 )