Neue Liebe Op.19a-4 6 Gesänge |
新しい恋 6つの歌 |
In dem Mondenschein im Wald Sah ich jüngst die Elfen reuten; Ihre Hörner hört ich klingen, Ihre Glöckchen hört ich läuten. Ihre weißen Rößlein trugen Güldnes Hirschgeweih und flogen Rasch dahin,wie wilde Schwäne Kam es durch die Luft gezogen. Lächelnd nickte mir die Köngin, Lächelnd,im Vorüberreuten. Galt das meiner neuen Liebe, Oder soll es Tod bedeuten? |
月の輝く森の中 ぼくは妖精が馬を駆るのを見たのだ その角笛の鳴るのをぼくは聞いた その鈴が鳴るのをぼくは聞いた 彼らの白い馬たちは 金色の鹿の角を生やし飛び去っていった あっというまに、まるで野生の白鳥が 空を滑っていくみたいに 微笑みながらぼくにうなずきかけたその女王 微笑んでいた、馬で通り過ぎるときに ぼくの新しい恋の前触れか それともこれって死の前触れなのか? |
メンデルスゾーンの有名な劇音楽「真夏の夜の夢」で印象的なスケルツォ、あの快速で駆け抜ける独特の浮遊感を歌にしたらこんな感じになるでしょうか。歌は詩のフレーズを何度も繰り返しながら風が吹き過ぎるようにあっというまに飛び去って行きます。まるでこの妖精の女王が馬で飛び去って行くように。詩はハイネの「新詩集」より。ピアノの伴奏に垣間見える角笛の描写、そして音楽がゆっくりとなって最後に幻想が現実にふと引き戻されるところが見事です。最後はピアノがまた飛び去っていく妖精の描写をしてさらっと終わります。
( 2009.04.01 藤井宏行 )