Edward Op.1-1 Drei Balladen |
エドワード 3つのバラード |
Dein Schwert,wie ists von Blut so rot? Edward,Edward! Dein Schwert,wie ists von Blut so rot, Und gehst so traurig da? - O! Ich hab geschlagen meinen Geier tot, Mutter,Mutter! Ich hab geschlagen meinen Geier tot, Und das,das geht mir nah - O! Deines Geiers Blut ist nicht so rot, Edward,Edward! Deines Geiers Blut ist nicht so rot, Mein Sohn,bekenn mir frei - O! Ich hab geschlagen mein Rothroß tot, Mutter,Mutter! Ich hab geschlagen mein Rothroß tot. Und’s war so stolz und treu - O! Dein Roß war alt und hasts nicht not, Edward,Edward! Dein Roß war alt und hasts nicht not, Dich drückt ein andrer Schmerz - O! Ich hab geschlagen meinen Vater tot, Mutter,Mutter! Ich hab geschlagen meinen Vater tot, Und das,das quält mein Herz - O! Und was wirst du nun an dir tun? Edward,Edward! Und was wirst du nun an dir tun? Mein Sohn,das sage mir - O! Auf Erden soll mein Fuß nicht ruhn, Mutter,Mutter! Auf Erden soll mein Fuß nicht ruhn, Will wandern übers Meer - O! Und was soll werden dein Hof und Hall? Edward,Edward! Und was soll werden dein Hof und Hall? So herrlich sonst und schön - O! Ach immer steh’s und sink und fall’, Mutter,Mutter! Ach immer steh’s und sink und fall’, Ich werd es nimmer sehn - O! Und was soll werden aus Weib und Kind? Edward,Edward! Und was soll werden aus Weib und Kind, Wann du gehst über Meer? - O! Die Welt ist groß,laß sie bettlen drin, Mutter,Mutter! Die Welt ist groß,laß sie bettlen drin, Ich seh sie nimmermehr - O! Und was soll deine Mutter tun? Edward,Edward! Und was soll deine Mutter tun? Mein Sohn,das sage mir - O! Der Fluch der Hölle soll auf euch ruhn, Mutter,Mutter! Der Fluch der Hölle soll auf euch ruhn, Denn ihr,ihr rietets mir! - O! |
母:あんたの剣はどうしてそんなに血まみれなの? エドワード、エドワード! あんたの剣はどうしてそんなに血まみれなの、 それにどうしてそんなに悲しんでいるの? ???おお! 子:僕の鷹を殺してしまったんだ、 母さん、母さん! 僕の鷹を殺してしまったんだよ、 それが、それが悲しいんだ ???おお! 母:鷹の血はそんなに赤くはないよ、 エドワード、エドワード! 鷹の血はそんなに赤くはないよ、 正直に言ってごらん ???おお! 子:僕の赤毛の馬を殺しちゃったんだよ、 母さん、母さん! 僕の赤毛の馬を殺しちゃったんだよ、 誇り高く僕に忠実だったのに ???おお! 母:あんたの馬はもう年だったから必要なかったんだ、 エドワード、エドワード! あんたの馬はもう年だったから必要なかったんだ、 あんたは別の悲しみで沈んでいる ???おお! 子:僕は、僕は、父さんを殺したんだ! 母さん、母さん! 僕は、僕は、父さんを殺したんだ! それが、僕の心をとがめるんだ ???おお! 母:それであんたはどうするつもりだい? エドワード、エドワード! それであんたはどうするつもりだい? 愛しい息子よ、教えてくれ! ???おお! 子:この地上に私の休息できる場所はない! 母さん、母さん! この地上に私の休息できる場所はない! 海の向こうに行くつもりだ ???おお! 母:それではこの家はどうなると言うの? エドワード、エドワード! それではこの家はどうなると言うの? こんなに立派で絢爛な家なのに ???おお! 子:ああ、いっそのことこのまま崩れればいい、 母さん、母さん! ああ、いっそのことこのまま崩れればいい、 僕はこの家を2度と見るまい ???おお! 母:それでは家族はどうすればよいの? エドワード、エドワード! それでは家族はどうすればよいの? あんたが海の向こうに行ってしまったら! ???おお! 子:世界は広いんだ、そこで乞食をすればよい、 母さん、母さん! 世界は広いんだ、そこで乞食をすればよい、 僕は、僕はもう2度と家族とは会わない ???おお! おお! 母:それで母さんはどうすればいいの? エドワード、エドワード! それで母さんはどうすればいいの? 息子よ、愛しい息子よ、教えてくれ!! ???おお! おお! 子:地獄ののろいを下してあげよう、 母さん、母さん! 地獄ののろいを下してあげよう、 母さん、あんたがそそのかしたのだから!! ???おお! (古いスコットランドのバラードに基づく) |
レーヴェ(1796〜1869)の処女作となった「エドワード」、作曲は彼が22歳の時にあたる。これ以降レーヴェはバラード(物語性を帯びた詩)を中心に350曲もの歌曲を作曲するが、同じ頃活躍したシューベルトに比べると現代まで歌い継がれている曲は数少ない。しかしレーヴェの作品は曲想が詩で語られる物語と合致しているので、どの作品も聴きやすいのではないだろうか。シューベルトの作品で有名なゲーテの「魔王」の詩にレーヴェも作曲しているが、シューベルトほどの強烈なインパクトはないにしろ、物語の構築性からすればシューベルトに引けを取らないと思う。
さてこの「エドワード」であるが、これは激しい歌曲である。今回私はかなりの異訳を試みようとも思ったが、原作ほどの強烈性を伝えきれないことから、ほぼ原詩通りの訳をつけた。最初の2節はオドオドする息子に対し母がなだめているように感じ取れるが、3節目の息子の「父さんを殺したんだ!」から一転、息子と母の立場が逆転する。泰然とする息子に対し、オロオロする母。曲もこの立場の逆転を見事に表現している。そして曲はクライマックスに向けて緊張感を加速する。
そして、歌詞の中に16回出てくる「おお!」、これを詩に従い役に従ってどう表現しわけるのかが、この曲の最大のポイントと言ってよいだろう。
その意味で、フィッシャー・ディースカウがイェルク・デームスと組んで録音したこの曲は見事としか言いようがない。ディースカウの「一語一語にまでコトバに意味を持たせ、表現付けを行う」歌唱については賛否別れるところであるが、このレーヴェのバラード、特に「エドワード」に関しては、その表現方法が完璧に機能している。
あまりにもディースカウが凄すぎて、何度聴き直したかはわからない。「おお!」とディースカウが歌う度に背筋が凍り付く。何度も聞き直すと「おお!」という恐ろしい鳴咽が耳に残るため、聴き過ぎには注意が必要である。その場合は同じレーヴェの「詩人トム」を聴いて、メルヘンチックに浸ることによって耳を清めた方が良いであろう。
( 1999.07.11 Hisato )