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Ave Maria    
 
アヴェ マリア  
    

詩: エルリーコ (Carmelo Errico,1848-1892) イタリア
      

曲: トスティ (Francesco Paolo Tosti,1846-1916) イタリア   歌詞言語: イタリア語


Per le fulgenti cupole dorate
La melodia dell’organo suonava;
Lento moriva il dì sulle vetrate;
Una nube d’incenso al ciel volava,
E dolcemente da ogni labbro uscia:
Ave Maria.

Nella blanda mestizia di quell’ora
Tutta serenità di paradiso,
Il cavaliere che sospiro ognora
M’apparve,e a lungo ci guardammo in viso:
Fu vana allora la preghiera mia,
Ave Maria.

Dall’azzurro del ciel stendi la mano
A me infelice dal dolore affranta;
Deh! ch’io non pianga e non t’invochi invano,
Arridi all’amor mio,Vergine santa:
Abbi pietà di me,Vergine pia.
Ave Maria.

金色に輝く教会の屋根の下では
オルガンのメロディが響いていた
ゆっくりと一日はステンドグラスの上に死んでゆき
香りたつ雲は天に漂っていた
そして穏やかに 皆のくちびるから発せられていたのは
アヴェ マリア

あの静かな悲しみの時
楽園のあらゆる穏やかさの中
いつも会いたいと願っている騎士が
私の前に現れ、私たちは顔をじっと長いこと見つめ合った
私のお祈りは上の空
アヴェ マリア

この青き天より 御手を差し伸べてください
悲しみに打ちひしがれた哀れな私に
ああ!私は泣きません 御身をむなしく呼び求めはしません
私に愛の微笑みをください、聖なる処女よ
私に哀れみをください、敬虔なる処女よ
アヴェ マリア


たいへん美しいメロディで、古今東西のアヴェ・マリアの中でも傑作、と言おうかと思いましたら、この歌詞、普通にアヴェ・マリアで使われるラテン語の典礼文ではなく詩人の手になる別の詩が使われているのですね。しかも教会の礼拝という状況を使っておりながらかなり生々しい煩悩の世界をこっそり忍び込ませております。清楚な音楽とのギャップがなかなかに味わい深いです。

( 2008.11.15 藤井宏行 )


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