Blauer Sommer Op.31-1 TrV 173 Vier Lieder |
青い夏 4つの歌曲 |
Ein blauer Sommer glanz- und glutenschwer Geht über Wiesen,Felder,Gärten her. Die Sonnenkrone glüht auf seinen Locken, Sein warmer Atem läutet Blütenglocken. Ein goldnes Band umzieht die blaue Stirne, Schwer aus den Zweigen fällt die reife Frucht Und Sens' und Sichel blitzt auf Flur und Feld, Und rot von Rosen ist die ganze Welt. |
青い夏 明るくそして焼けるように熱く 牧場を、野原をそして庭を通り過ぎて行く 太陽の冠はその豊かな巻き髪の上で輝き その熱い吐息は花の釣鐘を鳴らす 金色に輝くリボンがその青い額を飾り 重たそうに枝の上には熟れた果実がたわわになっている そして大鎌や小鎌が畑や野原で光っている そしてバラの赤さで全世界が満たされるのだ |
4曲からなる歌曲集Op.31は、シュトラウスの妹のヨハンナの結婚を祝って書かれたもので、そのうち3曲が日本では上田敏の名訳で知られる「山のあなた」を書いた詩人カール・ブッセ(Karl Busse 1872-1918)の詩に曲をつけたものです。
今やこの詩人も忘れられた詩人となっているような感じで、私も「山のあなた」以外の彼の詩に接するのはこのシュトラウスの歌曲以外にはないと言っても過言ではないのですが、この歌曲集が書かれた1895年には詩人もまだ20代の新進気鋭の時期。言葉の紡ぎだす鮮烈なイメージはとても印象に残ります。シュトラウスの書く濃厚な音楽もこの詩のスタイルには良く合っているようで、とても良くできた歌曲になりました。
( 2008.10.01 藤井宏行 )