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In goldener Fülle   Op.49-2 TrV 204  
  Acht Lieder
黄金色あふれる中を  
     8つの歌曲

詩: レーマー (Paul Remer,1867-1943) ドイツ
      

曲: シュトラウス,リヒャルト (Richard Strauss,1864-1949) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Wir schreiten in goldener Fülle
Durch seliges Sommerland,
Fest liegen unsere Hände
Wie in einander gebannt.

Die große Sommersonne
Hat unsere Herzen erhellt,
Wir schreiten in goldener Fülle
Bis an das Ende der Welt.

Und bleicht deine sinkende Stirne,
Und läßt meine Seele ihr Haus,
Wir schreiten in goldener Fülle
Auch in das Jenseits hinaus.

Wem solch ein Sommer beschieden,
Der lacht der flüchtigen Zeit?
Wir schreiten in goldener Fülle
Durch alle Ewigkeit.

ぼくらは歩くんだ 黄金色あふれる中を
祝福された真夏の大地を抜けて
固く手を握り合って
まるでお互いが結び付けられているように

でっかい真夏の太陽は
ぼくらのハートを照らしてくる
ぼくらは歩くんだ 黄金色あふれる中を
この世界の果てまでも

そしてきみのうつむいた顔が青ざめようと
そしてぼくの魂がこの体から離れようと
ぼくらは歩くんだ 黄金色あふれる中を
あの世でもずっと

こんな夏を授けてもらったやつは
過ぎ去っていく時間など笑い飛ばすのさ
ぼくらは歩くんだ 黄金色あふれる中を
永遠の時を超えて


馬で疾走していくような爽やかなリズムと角笛の響きのような華麗なメロディが印象的な曲です。ヨーロッパの夏はそれほど暑くはないのでしょうけれども、この音楽の中に私はむせかえるような熱気と、目もくらまんばかりの光の輝きにあふれる日本の夏の情景を感じます。「黄金色にあふれる」とあるのはぎらつく太陽の描写でしょうか。その輝きの中をふたり手に手を取って歩いて行く。永遠に続くかのように見える幸福感はしかしながら死の影を伴って、3連目ではふと陰りを見せます。それをまた打ち破るかのように冒頭の華やかなメロディが戻ってきて、そしてはるか遠くの世界へとふたりは消え去っていくようなイメージで曲は閉じます。

( 2008.10.01 藤井宏行 )


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