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Gesang der Apollopriesterin   Op.33-2 TrV 180  
  Vier Gesänge
アポロンの巫女の歌  
     4つの歌

詩: ボドマン (Emanuel von Bodman,1874-1946) ドイツ
      

曲: シュトラウス,リヒャルト (Richard Strauss,1864-1949) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Es ist der Tag,wo jedes Leid vergessen.
Ihr Schwestern,horcht: der Heilige ist nah.
Er meldet sich im Rauschen der Cypressen,
Und unsre Pflicht steht winkend vor uns da.

Wir lassen ihm den dunklen Sangerschallen,
Daß seine schöne Sonne niedertaut,
Wir ziehn um seine weißen Säulenhallen,
Und jede ist geschmückt wie eine Braut.

Seht,unten,wo die kühlen Bäche fließen,
Dort wandeln heut' in Nachtheit Mann und Frau;
Sie trinken selig Duft und Klang der Wiesen,
Und alle blicken sie zum hohen Blau.

Und alle jauchzen sie,und alle pflücken
Die großen Freudenblüten dieser Welt.
Wir aber wollen nach der Frucht uns bücken,
Die golden zwischen Traum und wachen fällt.

Wir bringen sie in einer Silberschale
Zum Tempel hin,dicht neben Speer und Schild.
Wir knieen nieder: Dufte,Frucht,und strahle
Dem Volk entgegen sein verklärtes Bild!

今日はあらゆる悲しみの消え去る日
姉妹たちよ、聴け、聖なるお方は近くにおられる
御姿を現されるのだ このキプロスのざわめきの中に
そしてわれらのなすべきことが目の前でわれらを差し招いている

われらは暗き歌を彼に歌わせ
彼の美しい太陽を沈めるのだ
われらは彼の神殿の白い柱の周りをめぐる
そしてめいめいが花嫁のように着飾るのだ

見よ、下を、冷たきせせらぎの流れるところを
そこでは今日 男も女も裸だ
彼らは幸福に飲み干すのだ 野の香りと響きを
そしてこの空の青さを見つめる

そしてすべての者は歓呼し、すべての者は摘んでいる
この世の偉大な喜びの花たちを
だがわれらは目の前に落ちている果実を拾わねばならぬ
その金色の実は夢とうつつの間に落ちるのだ

われらはそれを銀の盆に乗せて運ぶ
神殿へと、そして槍と楯のそばへと
われらはひれ伏す:香りに、果実にそして照らし出すのだ
人々を彼の晴れやかな姿に向かせるために!


トランペットの荘重なファンファーレで幕を開けるこの歌、あまり詩がこの舞台としているギリシャ神話のエキゾチックな雰囲気を感じさせずに、むしろヨーロッパ中世の王朝絵巻(の映画音楽)のような感じがするのですが、シュトラウスの声と管弦楽の扱いは巧みで、音になったものを聴くと大変な充実感です。とりわけ歌が終わったあとで、冒頭のファンファーレと同じメロディでオーケストラが爆発し、壮大なクライマックスを作るところなどは何度聴いても圧倒されます。まだ彼も「サロメ」や「エレクトラ」などのオペラの大作を手がけるだいぶ前の作品なのですが、すでにそれらの充実を予告するかのよう。ところどころのフレーズには「バラの騎士」を思わせるような陶酔的な旋律も顔を出していて面白いです。

( 2008.10.01 藤井宏行 )


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