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Na Bereru   Op.54-6  
  16 Pesni dlja detej
川べりに  
     16の子供のための歌

詩: プレシチェーエフ (Aleksey Nikolayevich Pleshcheyev,1825-1893) ロシア
      На берегу

曲: チャイコフスキー (Pyotr Ilyich Tchaikovsky,1840-1893) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Domik nad rekoju,
V oknakh ogonek,
Svetloj polosoju
Na vodu on leg.

V dome ne dozhdutsja
S lovli rybaka:
Obeshchal vernut’sja
Cherez dva den’ka.

No proshel i tretij,
A ego vse net.
Zhdut naprasno deti,
Zhdet i staryj ded.

Vsekh neterpelivej
Zhdet ego zhena -
Nochi molchalivej
I,kak kholst,bledna...

Vot za uzhin seli,
Ej ne do edy:
«Kak by v samom dele
Ne bylo bedy!»

Vdol’ reki nesetsja
Lodochka; na nej
Pesnja razdaetsja
Vse slyshnej,slyshnej.

Zvuki toj znakomoj
Pesni uslykhav,
Deti von iz doma
Brosilis’ stremglav.

Veselo vskochila
Iz-za prjalki mat’,
I u deda sily
Vdrug nashlos’ bezhat’.

Pesnju zaglushaet
Zvonkij krik rebjat,
Tshchetno unimaet
Staryj ded vnuchat.

Vot i vorotilsja,
Vesel i zdorov!
V rosskazni pustilsja
Totchas pro ulov.

V mordy on i v seti
Nalovil vsego.
S ljubopytstvom deti
Slushajut ego.

Smotrit ded na shuku:
«Bol’no velika!»
Mat’ synishke v ruku
Suet okun’ka.

Devochka prisela
Okolo setej
I vzjala nesmelo
Parochku ershej.

Prygajut,smejutsja
Detki,esli vdrug
Rybki vstrepenutsja,
Vyskol’znut iz ruk.

Dolgo razdavalsja
Smekh ikh nad rekoj,
Imi ljubovalsja
Mesjats zolotoj.

Laskovo mertsali
Evezdy s vyshiny,
Detjam obeshchali
Radostnye sny.

川べりに一軒の家がありました
その窓から漏れ出てくる
光は縞模様となって
水面に映し出されていました

その家では待ちかねておりました
お父さんの漁師が戻ってくることを
お父さんは戻ると約束したのです
この一両日のうちに

でももう三日目も過ぎましたけれど
お父さんはまだ戻って来ていません
子どもたちは待ちわびていました
年老いたおじいさんもまた同じでした

みんなの中でもとりわけ
おかあさんが待ちわびていました
夜のように静かに
そしてシーツのように真っ白な顔で

晩ごはんの卓を囲んでいても
おかあさんはごはんがのどを通りません
「何かあったのかしら
 何も悪いことがなければいいのだけれど」

そのとき川を漂ってきたのは
小さな舟です、そしてそこから
歌が響いてきました
どんどんはっきりと、はっきりと

その懐かしい響きの
歌を聞くやいなや
子どもたちは家を飛び出し
駆け出して行きました

楽しそうに飛びあがって
糸車の陰からお母さん
それからおじいさんも力強く
突如駆け出して行きました

歌声はかき消されてしまいました
子どもたちの叫び声で
それはとても無理なことでしたけれど
おじいさんは子どもたちを静かにさせようとします

だっておとうさんが帰ってきたのですから
陽気に 元気よく!
すぐにお話が始まりました
魚を捕まえたお話が

仕掛けと網とで
魚を全部捕まえたのですって
面白そうに子供たちは
一生懸命聴いています

おじいさんの目もまん丸です
「たいしたやつじゃ」ですって
おかあさんは息子の手に
魚をさわらせようとします

小さな女の子は座りました
網のそばに
びくびくしながら持ってみます
二匹の小さなヨールシュを

飛び上がって笑っています
子供たちは、ピチピチと
元気の良い魚たちが
手から飛び出すたびに

ずっと長いこと
笑い声は川の上に響き渡りました
みんなを見ているのは
金色のお月さま

やさしくきらめいているのは
空高くにある星たち
子供たちはきっと見られるでしょう
楽しい夢を


詩の初めの方を見ていると、これからどんなドラマが始まるのだろうか、と思わせぶりな描写ですが、結局終わってみれば何らの事件がこの一家には起こることもなく、幸せそうに幕が閉じられます。やっぱり平凡が一番、といったところでしょうか。純朴な漁師一家の描写が微笑ましく感じられます。そしてまた平凡であるにも関わらず恐ろしく長い詩ですが、チャイコフスキーはすべてに作曲しています。とは言っても同じメロディをずっと繰り返していく有節歌曲のつくりなので演奏されるときは大胆にカットされることが普通のようですが。
詩の中で出てくるヨールシュというのはスズキの仲間の淡水魚なのだそうです。あまりロシアにいる魚の種類がピンとこないもので、そのままにしてしまいました。

素朴この上ない歌のメロディと、間奏の跳びはねるようにお茶目なピアノ、強烈な印象を与えることはないですが、しみじみと味わい深いすてきな曲です。

( 2009.02.07 藤井宏行 )


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