Dlja beregov otchizny dal’noj |
遠きふるさとの岸辺に |
Dlja beregov otchizny dal’noj ty pokidala kraj chuzhoj; v chas nezabvennyj,v chas pechal’nyj ja dolgo plakal nad toboj. Moi khladejushchie ruki tebja staralis’ uderzhat’; tomlen’ja strashnogo razluki moj ston molil ne preryvat’. No ty ot strastnogo lobzan’ja svoi usta otorvala; iz kraja mrachnogo izgnan’ja ty v kraj inoj menja zvala. Ty govorila: ,,V chas svidan’ja, pod nebom vechno golubym, v teni oliv i mirt lobzan’ja my vnov’,moj drug,soedinim.`` No tam,uvy,gde neba svody sijajut v bleske golubom, gde pod skalami dremljut vody, usnula ty poslednim snom. Tvoja krasa,tvoi stradan’ja ischezli v urne grobovoj, ischez i potseluj svidan’ja... No zhdu ego: on za toboj! |
遠きふるさとの岸辺に向けて 君はこの異郷の地を離れる この忘れ難き時、悲しみの時に 私は君の前で、思い切り泣いた 私の凍える手は 君をここに留め置こうともがき 恐ろしき別れの苦悩の中 私は行くなとうめいていた だが君はくちびるをそむけた 私の苦いくちづけから この暗い逃亡の地から 他の土地に私をいざなった 君は言った「今度会う時は 青い空の下 オリーブの木の陰で キスを交わしましょう」 ああ、だがその遠いかの地 青く輝く空と 水が麗しいかの地で 君は永遠の眠りについた 君の美しさも、そして悩みも 墓石の下へと消えてしまった 甘いくちづけの約束もまた... でも私は永遠に待つ、君との約束を |
ボロディンの歌曲の中では一番有名なものでしょう。ロシア歌曲のアンソロジーで、彼の曲を取り上げているとしたらまず間違いなくこの曲です。私はどちらかというと、彼の歌曲の中でも自作の詩に付けた、歌劇「イーゴリ公」の1節を思わせるような朴訥なものやチェロの伴奏の付いた民謡(ロシアンダンス)を思わせる曲などの方が好きなのですが、何より録音が少ないですし、まあ「芸術的」にはそれほど高い評価は受けられないのかもしれません。
この曲もそんなに悪い曲ではないので取り上げてみます(ちょっとチャイコフスキーっぽい歌曲なので、彼の個性とは違うような気がしてそれだけが不満)。
詩は悲しい別れを思い出し、涙に暮れる(しかもその相手が死んでしまう)というメロドラマの王道をいく設定、やっぱりボロディンよりはチャイコフスキーの資質に合った詩だと思うのですが、浸り込むような悲しいバラードに仕上げています(グラズノフ編曲の管弦楽伴奏というのがあって、クリストフの歌(EMI)で聴くことができますが、これで聴くとなんだかイーゴリ公が祖国を思って歌うアリアのように聞こえてこれはこれでご愛敬)。この曲のセンチメンタルな味を良く出しているのはやはりギャヴロフのバリトンでしょうか(London)。
( 2000.02.07 藤井宏行 )