Das Rosenband Op.36-1 TrV 186 Vier Lieder |
バラのリボン 4つの歌曲 |
Im Frühlingsschatten fand ich sie, Da band ich sie mit Rosenbändern: Sie fühlt' es nicht und schlummerte. Ich sah sie an; mein Leben hing Mit diesem Blick an ihrem Leben: Ich fühlt' es wohl und wußt' es nicht. Doch lispelt' ich ihr sprachlos zu Und rauschte mit den Rosenbändern. Da wachte sie vom Schlummer auf. Sie sah mich an; ihr Leben hing Mit diesem Blick an meinem Leben, Und um uns ward Elysium. |
春の木陰にぼくは彼女を見つけ そこで彼女にバラのリボンを結んだ 彼女はそれに気付かず まどろみ続けた ぼくは彼女をじっと見つめ ぼくの人生は結ばれたのだ この眼差しによって 彼女の人生と: ぼくはそのことを感じていた、でも何だかわからなかった だけど ぼくが彼女に静かにささやきかけ バラのリボンを揺すると 彼女はそこで眠りから覚めた 彼女はぼくをじっと見つめ 彼女の人生もまた その眼差しと共に ぼくの人生と結ばれたのだ そしてぼくたちの周囲は天国となった |
この詩につけた歌曲では、シューベルトのものがたいへん有名でしょうか。詩人のクロプシュトックは更に古い人で18世紀に活躍した人(Friedrich Gottlieb Klopstock (1724-1803)) 、ドイツ抒情詩の元祖として名高い方のようです。比較的同時代の詩人の詩を愛好したシュトラウスにしては意外なほど古い詩の選択ですが、音楽は濃密なシュトラウス節が全開。トロトロのロマンに浸れます。まあ詩の内容自身が濃密な恋のワンシーンですから驚くにはあたらないでしょう。なおひとつだけ補足しておきますと、「楽園」と訳しましたElysium(エルシウム、エルシオンとも)はギリシャ神話に出てくる祝福された人々が死後に住むというパラダイスのことだそうです。
( 2008.10.01 藤井宏行 )