Das ist ein schlechtes Wetter Op.69-5 TrV 237 Fünf kleine Lieder |
ひどい天気 5つの小さな歌曲 |
Das ist ein schlechtes Wetter, Es regnet und stürmt und schneit; Ich sitze am Fenster und schaue Hinaus in die Dunkelheit. Da schimmert ein einsames Lichtchen, Das wandelt langsam fort; Ein Mütterchen mit dem Laternchen Wankt über die Straße dort. Ich glaube,Mehl und Eier Und Butter kaufte sie ein; Sie will einen Kuchen backen Für's große Töchterlein. Die liegt zu Hause im Lehnstuhl Und blinzelt schläfrig ins Licht; Die goldnen Locken wallen Über das süße Gesicht. |
こいつぁひどい天気だ 雨が降り 風が吹き 雪が降る 俺は窓際に座って眺める 暗闇の中 あっちの方を あそこにちらついているのは小さな灯りひとつ そいつはゆっくりと進んでいく ランタンを持った小柄な母親が よろめきながら歩いているのだ 俺は想像する、小麦粉と卵 それにバターを彼女は買ったのだ ケーキを焼こうというのだろう 大きな娘っ子のために そいつは家ん中でソファに寝そべって 眠たそうに灯りを見ていることだろう 金色の巻毛がかかっているんだ かわいい顔の上に |
ハイネはいったいどういう意図でこのような詩を書いたのか謎ではありますが、これは有名な「ローレライ」なども含まれる「帰郷」という詩集の中の一篇です。
リヒャルト・シュトラウスがつけた曲は、後半の娘のところの描写が「バラの騎士」のワルツみたいに美しくもユーモラスなものですから、おそらくかなりの皮肉をこめているのでしょう。それもあって私も少々毒のある訳を試みてみました。
嵐の外の情景を歌っている部分の陰鬱で、何の華もない重たいワルツが、いつの間にやら霧が晴れるかのように華麗で耽美的なものにいつの間にやら変わっているところはさすがシュトラウスという感じで、非常に面白い歌が出来上がりました。
最後のピアノがまた嵐のこだまを返してはきますが、もはやそれは詩人の妄想の世界の中であるかのように霞がかかって、そしておどけたように消え去っていきます。リリックなソプラノによく歌われている作品のようですね。
( 2008.10.01 藤井宏行 )