Hat gesagt - bleibt's nicht dabei Op.36-3 TrV 186 Vier Lieder |
言われたことは-それでおしまいではない 4つの歌曲 |
Mein Vater hat gesagt, Ich soll das Kindlein wiegen, Er will mir auf den Abend Drei Gaggeleier sieden; Siedt er mir drei, Ißt er mir zwei, Und ich mag nicht wiegen Um ein einziges Ei. Mein Mutter hat gesagt, Ich soll die Mägdlein verraten, Sie wollt mir auf den Abend Drei Vögelein braten; Brät sie mir drei, Ißt sie mir zwei, Um ein einziges Vöglein Treib ich kein Verräterei. Mein Schätzlein hat gesagt, Ich soll sein gedenken, Er wöllt mir auf den Abend Drei Küßlein auch schenken; Schenkt er mir drei, Bleibt's nicht dabei, Was kümmert michs Vöglein, Was schiert mich das Ei. |
とうさんが言ったわ あたしに子守りをしなさいと そしたらあたしに今晩 三個のアヒルの卵をゆでてくれるって でも三個ゆでても 二個はとうさんが食べちゃうの あたし子守りなんてしたくないわ たった一個の卵のために かあさんが言ったわ お友達のことを話しなさいって そしたらあたしに今晩 三羽の小鳥を焼いてくれるって でも三羽焼いても 二羽はかあさんが食べちゃうの たった一羽の小鳥のために あたし話したりしたくない あたしのボーイフレンドが言ったわ ぼくのこと想ってくれよって そしたらあたしに今晩 三回キスしてくれるって 彼は三回してくれるし それだけでおしまいじゃないわ たった一羽の小鳥なんてどうでもいいわ たった一個の卵が何でしょう |
これも「子供の不思議な角笛」から恋する若い娘のモノローグ。なかなかに真実をついていて微笑ましいです。音楽は歌というよりは語りに近く、恋人のことでメロメロになっている第3連だけが軽やかに転がす声で鼻歌のようになり、笑いを誘います。タイトルにある“bleibt's nicht dabei”というのもこの恋人の男の子が約束のキス3回だけでおしまいにしてくれない(古い言い方でいえばAだけでなくBやCまで行ってしまう、っていったところでしょうか)、同じ約束通りにならないにしても、親にすっぽかされるよりもこっちの方がどれだけ素敵かというのが露骨なまでの差をつけて語られます。ルチア・ポップの歌ったEMI盤(ピアノはサヴァリッシュ)のしっとりした歌もいいのですが、もう少しメリハリが効いていてユーモラスなキリ・テ・カナワの歌(Decca ピアノはショルティ)の方が私はこの曲に関しては好ましかったです。
( 2008.10.01 藤井宏行 )